憧れの海外での仕事を開始してから数か月。パンデミックが世界を混乱の渦に巻きこみ始め、私は海外からの帰国を余儀なくされました。

今まで海外で仕事をする為に積み上げてきた努力は、何だったんだろうという残念な気持ちと、(正直に告白すると)日本へ帰れる少しの喜びを胸に帰国し、先の見えない未来に鬱屈とした日々を過ごしました。

ただ時間だけが過ぎてしまっていたときに出会った、一冊の本

見通しの見えない中、最終的にレイオフ(再雇用を前提とした一時解雇)となりました。実家に居候し、無職という厳しい現実に目を背けながら、ベットの上で携帯をいじりながらゴロゴロしていると、どうやって出会ったのかすら記憶が曖昧な知人がLINEのつぶやきを更新したという通知が目に入り、何気なく見てみました。

すると、そこには日常の何気ない報告と共に、とある本の感想が書かれていたのです。その本とは、『人生は20代で決まる』という本です。よくある自己啓発本の類かと思いつつ、作者は「これを20代の時に読んでいたのならどれだけよかったか」と思い書いていたのです。

先が見えず、ただ時間だけが過ぎる日々に、平気なふりをしつつも焦っていた私は、その本を読むことにしました。その本は、まさにタイトルの通り、成人の発達心理学を専門とする作者が、20代の行動がその先の人生を左右するということを科学的なデータを元に、訴えています。

30代まで結婚や妊娠・出産などの重要な決断は先延ばしにすればいい、という社会の風潮があるのは否めない一方、例えば生物的に妊娠しやすい年齢は28歳であることなど、この本を読んで、よりこの先の自分の生き方を考えさせられたのは言うまでもありません。

キャリアも結婚も妊娠出産も…アラサーの今の自分にのしかかっている

親族の集まりがあった際に「次会うときは結婚式やなぁ」という悪気はなくともあまり気持ちの良くない冗談を言われたり、結婚や妊娠・出産が本当に“幸せ”なのか? という問題提起をする社会の風潮もあり、様々な情報、価値観が錯綜する中で、時々「私は本当はどうしたいのか?」ということが分からなくなっていることがあります。

一昔前は、女性は結婚すれば家庭に入り、子どもを育て、男性は外で働くという価値観があり、それが当たり前で、それが幸せだとされていた時代。

それを信じてさえいればよかった時代から、自分で自分の幸せを決める時代への変換。思考停止から、思考する時代へ。面倒にも思いますが、これを書きならがらも、そういう時代に生きているのだと改めて感じます。

当の私は、もう26歳。20代も残り僅かです。テレビで見る年下のタレントさんやスポーツ選手の若さにもハッとし、その若さに少し嫉妬するような年齢になってしまいました。

そして、近頃思うことは親の老い。私は母が39歳の時に生まれた子供で、母はもう65歳、父は75歳です。病気がちの父に孫の顔を見せられるだろうか、そんなこともぼんやり考えます。

しかし、冒頭でも書いたように、私は現在、定職についておらず(今はフリーター)、そもそもまともに恋愛もしたことがない、しかも処女…。

将来のキャリアも、結婚も妊娠出産のこともどうするか、今一挙に後回しにしていた宿題が自分にのしかかっています。

多様な価値観に酔いそうだけど、30代に後悔しないように行動する

とりあえずは、興味のある分野を大学で学びなおすことを決めました。

結婚は飛び越してしまっていますが、妊娠・出産に関しても、自分で調べる中で、出来るだけ卵巣や子宮年齢を若く保つために生理の回数を減らすと良いという情報を見つけ、ピルを飲むことにしました。

もうアラサーというカテゴリーをされる中、世の中の多様な価値観に、“価値観酔い”してしまいそうにもなりますが、30代になってから後悔しないよう、また選択肢を私なりに多く残せるよう、行動していきたいと思っています。

憧れの海外での仕事は無くなりましたが、それによって出来た時間が私に将来を考える機会を与えてくれました。