「オレ、もう、結婚を考える歳なんだよ?」
30歳の彼。24歳の私。
私だって、結婚を考えてなかったわけじゃない。
30歳前に子どもが欲しいなぁ。
2人だけの新婚生活期間も1年くらい欲しいなぁ。
付き合ってすぐ結婚はしたくないなぁ。
漠然とした希望はある。
だから、いま別れたら、次付き合いたい人だってすぐ見つかるか分からないし、希望からはどんどん遠ざかっていくかも。それがとっても怖かった。
一緒にいてとても楽しいし、収入だって申し分ない。家事も一通りできる。
結婚相手として、理想の人だとも思ってた。
結婚したら、どんな生活になるんだろう、って思い描いたことだってある。
「一緒にいるのは楽しいんだけど、結婚生活が、想像できない」
現実を見ている彼。理想を見ている私。
一緒に過ごしている時間はとても楽しくて、自分が興味なかったことでも、一緒にいるだけで楽しいものに変わった。
今まで興味がなかった競馬も初めてやってみたし、私が好きなお菓子作りを一緒にしたこともあった。わくわく感を共有できる人って、そう簡単には現れないと思う。
「次ケンカしたら別れよう」本気の彼と、軽く考えていた私
でも、些細なことでケンカも多かった。
たいてい、私が先に怒る。きっかけは、もう覚えていないくらいどうでもいいこと。
ただ、仲直りの仕方が分からなかった。
そんな時間を通して、ちょっとしたことで怒らせて、気まずい時間が続く生活になるのかな?
子どもが出来たら、考え方が合わなくてケンカも増えるのかな?
なんてことを感じさせていたことに、私は気づけなかった。
「次、ケンカしたら別れよう」
本気で言っていた彼。軽く考えていた私。
毎回同じことを繰り返している。結構前から気づいていた。
解決のために、何かしようとしたことがなかった。
相性の問題なんだと思う、なんて言葉に私は納得していなくて、次ケンカしたら別れるなんて、売り言葉に買い言葉なつもりだった。
でも、いつもケンカのきっかけは、私が怒ることだから、怒らせないようにしようって気を遣ってくれていたらしい。不器用な彼は、分かりやすく、ぎこちなかった。
そんな空気を敏感に感じ取った私は、結局怒った。
距離を置こうってなって初めて、関係性について真面目に考えた。
ただ、それはちょっと遅すぎたみたい。
将来を考えていた彼と、恋愛したかった私。結婚に対しての本気度の違い
「オレ、もう、結婚を考える歳なんだよ?」
将来を考えていた彼。恋愛をしたかった私。
なんとなく、理解出来た気がする。彼の言葉の意味。
穏やかな生活を送りたい。そう願うのは当たり前だ。
彼はきっと、今の姿を将来に重ね合わせていたのだろう。
対して私は、何でも言い合って、ぶつかれる関係になりたかった。
ケンカを繰り返して、価値観をすり合わせていけるのは、若い間の特権だとさえ思ってた。
将来、折れなきゃいけないことも出てくるだろうけど、今はまだその時期じゃない。
言いたいことを言い合ったら、余計仲良くなれると思ってた。
でも違った。
この、微妙な歳の差は、結婚に対しての本気度が違ったんだ。
1個1個真剣に向き合ってくれていた彼に対して、私はその時の感情だけで振り回していた。心のどこかで、まだ、結婚はしたくないなーって思っていたのだと思う。
彼が素敵な人に出会えていますように。私も幸せな生活が送れますように
別れたくなかった理由も、結局、
こんな条件のいい人現れないだろうなぁ。次のハードル上がっちゃうなぁ。
なんていう、最低なものだったような気もする。
―別れて良かった。
まだ、結婚は考えていない私。
きっと、新たな素敵な人に出会えたから、こう思えるんだろう。
いつかは結婚したいけど、今はまだ、今の時間を楽しみたい。
そんな悠長なことを言っていたら、婚期逃すよって言われるかもしれない。
でも、どこどこに旅行したい、あれが美味しいらしいよ、なんていうことをただしゃべっている時間が心地よすぎて、今はもう少し、このままでいいんじゃないかなって思う。
彼が素敵な人に出会えていますように。
私も、もう少し大人の考え方が出来るようになって、幸せな生活を送れますように。