美味しいね。そう言いながら貴方は私に向かって微笑みかけた。
たった今、2021年1月20日20時38分
私の中で何かが変わった。

大人になるにつれて、結婚するのが難しいとさえ思うように

幼い頃、シングルファザーとシングルマザーの片親を経験した私は、兎にも角にも早く結婚がしたかった。好きな人ができてその人と結婚して子供を育てる…。それが当たり前かつ、幸せだと信じて疑わなかった。両親の仲がいい家庭がとても羨ましかった。

小さい頃の私は、幼いながらにことを理解し、しっかりしようと頑張った。でも、しっかりしようとすればするほど人への甘え方がわからなくなる。結婚って愛されて愛すものだよなぁ。人を愛すって…?人に愛されるって…?

大人になるにつれて結婚するのが難しいとさえ思う。あんなに可愛いお嫁さんに憧れていたのに。正確な判断が出来るようになると、沢山ある壁に気づく。収入、奨学金、生活環境、両親…と様々だ。某有名出会い系サイトの結婚しない理由に関するサイトでは、「男性は結婚した方が家事の手間も省けるし、毎日手作り料理が食べられて幸せだと思いますよね」と綴られていた。今時こんなことを書くんだと驚いた。

全ての性が平等な権利を持つべきだという考えの方もいるこの世の中で、結婚したら女性が家庭に入り家事は女性だけという昔からある一部の考え方が女性の結婚を圧迫してるようにも感じる。悩むのであれば、いっそのこと思い切って婚姻届出しちゃおうかとも思ったが、そんなこと私にはできなかった。
そういえば、同級生は結婚し子供が出来始めている。子供はいいよー可愛いよー!って。
わかる。すごく可愛いと思う。自分の子供なら尚更だ。でも結婚ってそんな簡単なものなの?

子供ができなければ彼は、向こうの親は、どう思うだろうか

昔は早くから結婚していたという。それが普通だったからって。私が普通じゃないのか。
いや待てよ、普通ってなんだ。むしろ、結婚って何の為にするんだ?! そんな葛藤が頭の中を駆け巡る。所詮、赤の他人。結婚したら離婚もあるかもしれない。
離婚すれば子供はどんな想いをするだろうか?

子供は欲しい。母親には子供は産みなさいと言われる。
孫を見たい親の意思を尊重したいが、いかんせん私は不妊症や流産率増高の原因である子宮腺筋症だ。毎日薬を飲んではいるが、子供ができなければ彼はどう思うだろうか。そして、向こうの親はどう思うだろうか。

親からは早く結婚しなさいと言われる。すごくプレッシャーだ。私からすれば子宮がある限り、薬を飲み続けなければいけないので早く取ってしまいたい。考えれば考えるほど問題解決の糸口が見つからない。

祖母に彼氏を紹介すると、仕事は?彼の親の仕事は?大学は?なんて質問攻めだ。
結婚は2人だけのものではないのはわかるが、古臭くて面倒だ。
私が幸せならいいんじゃないか?そう思いながらも、祖母が質問してくるのもわかる。
私が母親ならきっと心配で質問攻めするはずだ。
結局、似るんだなと自分に嫌気がさす。

つまらないモノクロな世界に色を付けてくれたのは、今の彼だ

私は、20年間ずっと1人だった。高校卒業後家を出てリゾートバイトで各地を転々としていた。家族も友達も仕事先も土地も全部恵まれた。その当時、彼氏もいた。正確には1人ではないのだがそれでも虚無感があった。
毎日、がむしゃらに働いていたつまらないモノクロな世界に色を付けてくれたのは他の誰でもなく今の彼だ。喪失感に苛まれていた私は彼とただ笑い合っただけで、彼と結婚がしたい…そう思えたのだ。やっと空っぽだった心の中が満たされた感じがした。
正直、これが正しい選択かどうかなんてわからない。樹木希林さんだって「結婚なんてのは、若いうちにしなきゃダメなの。物事の分別がついたらできないんだから」というようなことを言ってたぐらいだ。悩んでいても仕方がないのだ。

自分のことが嫌で嫌で仕方なかった。
でも今は、彼のことが好きな自分自身すらも愛おしい。そんな彼に出会え結婚ができる。そしてそんな彼を自分だけにできる。愛され方を忘れたのであれば自ら人を愛そう。
結婚とは素晴らしいものだと思う。
そしてそう思いたい。