「白のドレスを着て結婚式をしたい!」
と思っていたあの頃から15年は経っただろう。ウエディングドレスという言葉も知らないうちから結婚式を楽しみにしていた私がいた。女の子は大人になれば必ず白いドレスを着て結婚式を挙げるものだと思っていた。その白いドレスが、ウエディングドレスというものだと知ったあの頃の私だって、『結婚する』ということが一体どんなことなのかわかっていなかったに違いない。
遠距離恋愛。1人で抱えきれない寂しさを、話すふりしてぶちまける
「大きくなればわかる」。こう言われてきたしそう思っていた。現在19歳、わからないことが多すぎる。むしろ、大きくなるにつれてわからないことが増えた。レポートの書き方、政治の話、上手な生き方、、、挙げだしたら止まらない。『結婚』もその一つだ。
そもそも私は『結婚』について深く考えることはなかった。現実的でないし、まだ結婚について考えるときではないはずだと思っていたからだ。
しかし、最近やたらと結婚について考えることが増えた。
彼氏とは二年付き合っている。彼氏が就職するタイミングで遠距離恋愛となったため、会えるのは2、3ヶ月に一度だ。寂しくないと言えば大嘘つきになる。距離とともに、心が離れてしまうのではないかと不安なのだ。LINEでのやり取りでどうにか繋ぎ止めているようなものだ。といった私の恋愛事情を、時に人に話すことがある。友達やバイト先のパートのおばさんなど、聞かれれば誰彼構わずに話す。話す、と言うよりぶちまけているのかもしれない。1人で抱えきれない寂しさを、話すふりしてぶちまけている。このぶちまけによって、私が寂しい思いをしていることが聞き手にはしっかり伝わっているのだろう。
今の自分に結婚など考えられない。一緒にいたい気持ちだけは募る
聞き手の多くが、「大学を卒業したら結婚したら?」と言う。確かに、結婚すれば一緒にいられる時間がうんと増える。増えるどころか、毎日一緒にいることができる。今の私の寂しさを手っ取り早く消し去ってしまうには、大学を卒業したら結婚することなのかもしれない。うん、そうだ。
、、、ちょっと待って。結婚? 卒業したら、結婚?
私は、短大に通っている。21歳になる年に、20年住んだ実家を出て縁もゆかりも無いところで生きていくのだ。家族も、友達もいない好きだったあの景色もないところへ飛び込む勇気など持ち合わせていない。彼氏と一緒にいたいけれど、今いるところから離れたくない。わがままかもしれないが、私はわがままなのだ。それに、結婚について彼氏がどう思っているのか私は知らない。すぐに結婚するつもりなどない可能性だってある。彼は、私との将来をどう思い描いているのだろうか。そもそも、彼の将来に私など存在するのだろうか。考えては、寂しくなり自己嫌悪に陥る。私のような人間が、彼の人生に関わっていいのだろうか。どう考えても、今の自分には結婚など考えられない。ただ、彼と一緒にいたい気持ちだけは募っていく。
目の奥がじんと熱くなった。これからも一緒いると思ってくれて
彼は、私をちゃん付けで呼ぶ。私は、彼を苗字で呼んでいる。しっかりと’’さん’’ を付けて。ある時、彼が言った。「○○ちゃんが25歳くらいになったら、『もうちゃん付けで呼ばないで』って怒られちゃうかなぁ」と。少なくとも、私が25歳になる時までは一緒にいると思ってくれているんだなぁと目の奥がじんと熱くなった。その後も、彼は私たちがおじさんおばさん、そしておじいさんおばあさんになった時の事を話した。彼にとってはなんてことのない話だったのかもしれない。けれど、私にとっては、くすぐったくてやわらかくて幸せだった。たとえすぐでなくとも、ウエディングドレスは着なくとも、この先彼とずっと一緒にいたいと思った。
P.S. ウエディングドレスを知らなかった頃の私へ
19歳になっても結婚に対しての思いは上手く表せません。将来、ウエディングドレスは着ないかもしれません。でも、あなたの隣には素敵な人がいます。あなたは絶対に幸せになります。