2020年、これは去年の年明けのお話。

私は‘‘縁”というものをすごく大切にしていて、全ての出会いに縁があると思っている。
次のバスに乗っていたら、この道を通らなければ、忘れ物をしなければ、出会うことのなかった人、起きなかった出来事。

だからこそ、その出会いを大切に、素敵に思える。
こんな風に考えるようになったのも、あの日、お坊さんが私にくれた言葉があったから。

おみくじ筒を振った私を見て、お坊さんが聞いた。「もう一回引く?」

私は昔からおみくじだとか今日の運勢占いとか、なんとなく未来を明るく照らしてくれるものが好きだった。だから都合よく悪い運勢の時は、見て見ぬ振りをした。

今日のラッキーカラーが赤だとかラッキーアイテムが腕時計だとか意味があるような、ないような言葉だけれど、頭のどこかに置いておく。そしたら駅前の赤い花が綺麗でつい買ってしまったり、いつもはペーパーで拭く手をハンカチで拭いたり、ラッキーなことがあったかはわからないけれど、占いのおかげで平凡な毎日に意識するものがあることで、少し色が付くのが好きだった。

年が明けたら、人が少し落ち着いた頃にお寺に行って、おみくじを引くのが私の年初めの決まりだ。

運勢の結果を重視するわけではないけれど、良い運勢なら良い1年が待ってる気がして、運試しがてら毎年必ず引いていた。2020年の1月末、おみくじを引くことをメインに初詣に出かけた。そのお寺はお坊さんが、出た番号の紙を引き出しから取るタイプのお寺で、私は200円に願いを込めておみくじ筒を振った。

何が出てくるかわからないままキラキラした目でお坊さんに出てきた番号を見せると、じっと黙ったままのお坊さんが私の方を見て「もう一回引く?」と言った。

手渡されたのは「大吉」。でも、それより大切なものをもらった

そんなの有りなのかと思ったが、はたまたそう言ってくれるという事は、これはもしかして悪い結果なのか…。でも悪い結果だとしてもそれが出たという事は素直に受け止めた方がいいのでは…なんて考えもしたけれど、私は「じゃあもう一回お願いします!!」と、言って
もう一度おみくじ筒を振った。

そうするとお坊さんは出てきた番号が書かれている引き出しから“大吉”と書かれた紙をくれた。そして喜ぶ私を見て笑顔で言った一言が今後、私の人生を変える一言になった。

「吉も凶も紙一重だからね」

その一言が私には深く刺さってマインドを変える一言になった。

自分の考えを変えてくれるような言葉との出会いは“縁”である

凶だと思ったことも捉え方ややり方次第で吉にすることが可能であり、凶を吉に変えるのは自分次第だという事。

普段は忘れっぽい私だけれど、この時、この瞬間お坊さんが放ったこの一言を私は今もすごく大切にしていて、忘れた事はない。

私がお寺に行った日にこの方がお休みだったら、最初から吉を引いていたら、きっと聞けなかったであろうこの言葉を聞けたのも偶然という名の素敵な“縁”。

他人の言葉ってすんなり入ってくることも少ないし、その時は感銘を受けても時間が経つと忘れてしまうことが多いから、こんな風に自分の考えを変えてくれる言葉に出会えたことが、私には大切な思い出になった。

自分のマインドや人生を変えてくれる人に出会えたことを感謝しながら、また素敵な言葉に出会える日を楽しみに生きていきたいと思います。