婚活アプリで出逢った旦那は、実家の近所に住んでいた。
プロフィールの顔写真も顔の半分しか見えず、会ってもパッとしないと思っていたのに、なぜか嫌な気持ちがしなく一人暮らしの家にまで遊びに行くことになった。不思議と初めて入ったように感じない、馴染みのある部屋のような気がした。
その後2年付き合い、結婚し、子どもが生まれた。

考えれば考えるほど、結婚なんてするもんじゃないと思っても仕方ない

私は周りに結婚している友人が少ない。
そのせいか、結婚する必要って本当にあるのか?と考えることがよくある。結婚しないことを否定すると、彼女達の今を否定することになるし、実際に自分の経験を踏まえても、それほどメリットがあるのか疑問に思うことも多い。

1人で生きていけない世の中じゃないし、2人の方が将来安定とも言い切れない。不倫の末に離婚する芸能人も後をたたない。DVや虐待のニュースも恐ろしい。果たして、自分はそういう類いの事件と関係なく幸せな結婚を手に入れられるものか?
考えれば考えるほど、結婚なんてするもんじゃないと思っても仕方ない。

結婚しなくちゃ。使命感のようなものに突き動かされて婚活した

愛する人と一緒にいたいから、親を安心させたいから、子どもが欲しいから、など、結婚したい人には様々な希望がある。
私は「孤独死したくないから」が最初の動機だった。といっても、これも母から孤独死だけはするなと嫌味混じりに言われていたことがきっかけで、正直最初はそれほど深く考えていなかった。

ほとんど暇潰し状態で、ポツポツと婚活を始めたが、しばらくして事件が起こる。
仕事の忙しさとストレスがたたったのか、卵巣の病気になったのだ。
腫瘍が肥大しすぎていたため、緊急手術で半分を摘出することになった。
そんなに大きな手術ではなかったが、もう片方の卵巣も腫瘍ができる可能性があると主治医に言われた。
結婚もまだなのに、お腹を切るなんてと涙する母。
お腹切る?子ども、できない可能性もある?
いつか、自然の流れで子どもができる未来を想像してた。でもそれって当たり前じゃなかったんだと、手術のあとに思った。
結婚しなくちゃ。
ほとんど使命感のようなものに突き動かされて必死に婚活した。

もし私が結婚せずに働き盛りの20代後半を精一杯やり切っていたら

そんな、本当にしたかった結婚を叶えた私ですら、結婚しない友人を羨ましく思うことがある。子どもができたのは必死に働いて、役職のような立場を貰えた時だった。しかし悪阻が酷く、まず県外の出張に行けなくなり、オフィスでも耐えられなくなった。一度流産したので、心から望んでいた妊娠だった。それでも、社長に長期で休みたいと話したときは申し訳ないやら、悔しいやらで、気持ちが溢れて泣いてしまった。

もし私が結婚せずに働き盛りの20代後半を精一杯やり切っていたら、と想像する。実際、未婚の友人は年齢に関係なく皆自由を楽しんでいるわけで。望んだ未来を手に入れたけど、深夜まで残業したり病気までして必死に働いて努力して手に入れた地位を、一瞬で捨てなきゃならなかったことが悲しかった。

赤ん坊の息子はとても可愛く、毎日慌ただしく、かけがえのない時間を過ごしている。息子が生まれて初めて、これで良かったと思えた。

後悔はしていない。選択肢は自由だ。
ただ、結婚する未来も、結婚しない未来も、普通に選べる世の中になるといいなと思う。