予定が狂い、焦っていたあの時の私に響いた、ある言葉

取り敢えず仕事をやめ実家に戻った去年の3月。
海外にワーホリしに行きたかったけれど、コロナでそれどころではなくなった。

「何もしないまま1年が過ぎ去ってしまう」
そう考えて焦っていた時、一つの求人に出会った。
オンライン説明に参加し、事業内容などを一通り聞き終わった最後、理事長からの話の中にこの言葉があった。

「20代はVitality」
キャリアのVSOP論に出てくるこの言葉。
キャリアにおいて意識しておくべきことを年代別に、英単語で表したものだ。

20代はVitality(またはVariety)
30代はSpeciality
40代はOriginality
50代はPersonality

なぜこの言葉?となるに違いない。別に感動的でも衝撃的でもない。
でもあの時の私には、この言葉が響いた。

自分にはまだ何もない。そう考えると自分に自信が持てなかった

私は昔から飽きっぽい性格で、小学校4年性の時には担任の先生から「継続は力なり」というお言葉を頂いた。
その時はなぜそんな言葉をもらったかわからなかったけれど、成長するにつれて自分が飽き性だと言う自覚が湧いてきた。

私はこの飽き性な自分が好きではなかった。
というより、飽き性というのは周りから評価されないものだと感じていたから、直したかった。
入職から定年まで一つの企業で勤め上げるのが定番の、昭和生まれの親世代の考え方を感じとっていたからかも知れない。

大学時代、自分も一つのことを極めたいと専門性の高いところをわざわざ選んで就職したが、結局3年で辞めてしまった。
終わりが見えると急に興味をなくす私は、自分がそこで働き続けた結果が想像できた瞬間にやる気を失った。

常に新しいことに挑戦していたいと思う一方で、周りが仕事や結婚と言ったそれぞれの道を見つけていくのが羨ましかったし、焦った。
自分にはまだ何もない。そう考えると自分に自信が持てなかった。

まだ始まったばかり。気が多い性格のおかげで、何だってできそう

そんな時に出会った、20代はVitalityという言葉。
何事にも活力を持って挑戦して行けと言うメッセージ。
ずっと進むべき道が見えなかったが、「まだ焦って一つのことに決めなくてもいいのか」と考えたら急に目の前が開けた。
無理に一つに絞ろうとするからやりたいことが見えなくなっていた。

自分で言うのも何だが、私はVitalityだけは持ち合わせている。
興味のあることに関しては誰よりも集中力と体力を発揮する性格なのだ。
この言葉のおかげで私は一歩踏み出し、納得いく転職をすることができたし、
ずっと書いてみたかったエッセイを今こうやって書いている。
今は自分の気が多い性格が好きで、今の自分なら何でもできる気がしている。

ちょっと前の私のように、何をすればいいのかわからず、やりたいことが見つからず、訳もわからずに焦っている人は少なくないと思う。
特に20代後半に差し掛かっている人は、20代の残り数年、または数ヶ月で何ができる?と焦っているかもしれない。

でもちょっと立ち止まって考えてみて欲しい。
去年私たちは、たった数週や数ヶ月、時には数時間と言うようなで短い時間で世界が180度変わっていくことを経験した。
それでもちゃんと、私たちは変化に適応し、それ以上の力を発揮している。

適応は誰にでもできることじゃない。若く、柔軟さを失う前の20代だからできるのだ。
私たちはまだ若い。
私たちはVitalityに溢れている。
私たちのキャリアは、まだ始まったばかり。
私たちはこれから、何だってできる。何にだってなれる。

私がもらった言葉を、これからは誰かへつないでいきたい

誰の人生にも言葉が溢れている。
26歳。まだそんなに長くない私のこれまでの人生にも、たくさんの素晴らしい言葉が溢れていて、その都度私の背中を押してくれた。そしてこれからも沢山の心動かされる言葉に出会い、その言葉たちに私は救われるだろう。

私がもらった言葉を、今度は私から誰かへつなぎたい。
このエッセイが今この瞬間、それぞれの理由で前に踏み出せないでいる、
同年代の友人たちの背中を押す一言になりますように。