「『本当にしたいこと』をはっきり伝えてよ。」
この一言がこれから先、私が生きていく上での考え方を変えてくれた。
自分からデートに誘った時の嬉しそうな初彼氏の顔を鮮明に覚えている
わたしに初めての彼氏ができた。中学2年生の秋だった。私は嬉しくてスキップしたくなるくらいウキウキしながら日々を過ごしていた。せっかくの、生まれてはじめてできた彼氏。考えが食い違ったことで嫌われるのが怖くて、いつも自分の意見を言わないで彼の意見にすべて合わせて頷いてた。身長は小さかったけど、計画を立てるのが上手くて私にはもったいないくらい素敵な男性だった。わたしがずっと憧れていた映画デート、遊園地デートなどたくさんの夢が叶っていった。私はこの上ない幸せを噛みしめて過ごしていた。彼とは付き合う前から友人としても仲が良かったので、価値観の違いなどを感じる場面は一切なかった。と思っていた。
あるとき、いつも受け身だった私が勇気を振り絞ってずっと行ってみたかった水族館デートに誘ってみた。あのときの彼の嬉しそうな表情を今でも鮮明に覚えている。微笑みながら彼は私に「初めてちゃんと自分の意見言えたでしょ。これからもそうしてよ。」と言った。この時、私はこの言葉を頷くだけで、すぐに聞き流してしまった。今思うと、これが1番の反省点だなあ。
突然告げられた別れに戸惑い声が出ない私。彼はそんな私が嫌だった
月日は経ち高校1年生の春、唐突に彼から別れを告げられた。彼のことが大好きだったわたしは素直にその言葉を受け入れることができず、黙ってしまった。どうしよう、嫌だって言いたいけどそんなことしたらしつこいかな、嫌われるかな。そう思うと、考えてばっかで声が出なかった。彼は私の目をまっすぐ見つめてこういった。「そーゆーとこだよ。何をしたいのかちゃんと言わないとこ。ずっと俺に合わせてばっかで心の中が何も見えなくなっちゃったんだよね。俺のことばっか考えないでさ、本当にしたいことを伝えてほしかったよ。」
意見を合わせて連れ添って生きていくことが彼にとっての最高の幸せだって勘違いしていた。彼のことをなんでもわかっていたつもりだったけど、なにも分かっちゃいなかった。わたしは「ずっとあなたに嫌われるのが怖くて同調してたの。こうしたら喜ぶかなっていう一心で、自分の意見を言わなかった。」水族館デートに誘った時以来、「わたし」が1番思う感情を彼に告げた。それでもやっぱり彼の気持ちは変わらずに私の本気の初恋は幕を閉じた。
「彼を思って発言しないのは優しさじゃない」やっと気づいた彼の思い
家に帰ったわたしは母に泣きついた。一部始終を話したところで母は、「本当にしたいことを伝えてほしかったっていうのは本心のあなたを知りたかったっていうことだよ。彼のことを思って自分の意見を言わなかったのかも知れないけど、それはぜんぜん優しさじゃない。彼のことは気にせずにあなたの『本心』を知りたかったんじゃないの?」当時15歳だった私には少し難しい話だったかもしれないけど、今のままの自分じゃだめなことだけは分かった。自分の意見をはっきり言って思いを伝えることも時には大切なことを知った。
でも次に付き合った彼氏には「自分の意見ズバズバ言いすぎ。」って言われた。人って難しいなあ。何が正解なのか分からなくなる。けど人って生き物は奥が深くて面白いなって思った。
今思えばあんなに素敵で惜しい人を逃したなあ。元気にしてるかな。今でもあの言葉とともに思い出すときがある。初恋は甘酸っぱいってほんとうなんだなあ。やっぱり大好きだよ。