彼氏持ちの友人に言われた一言だった。私には、恋人がいない。大学生ともなると周りの友人の多くは恋人がいて、恋人との日常の話に特に花を咲かせている。恋人がいることや結婚することなど、恋愛をすること=幸せだと考えている人はやはり多いのではないかと思う。
幸せって何だっけ?
実際、友人にも「彼氏つくらないの~?」と聞かれたり、バイト先の上司からも「彼氏とかいないの?」と聞かれ、いないと言うと「早くつくりなよ~!」なんて言われることもある。
悪気はないと思うので笑って流すことしかできないのだが、多くの人は恋愛をすることに幸せの基準があるのだろうか、だとしたら恋人がいない自分は他人から見て幸せではないのだろうか、と無駄に悩んだり何とも言えない不安を感じたりすることがある。
そもそも彼氏ってつくろうと思ってすぐつくれるものでもないのでは!?と疑問に思うのだが、友人の恋人との幸せそうな話を聞くと私は勝手に置いて行かれているような気持ちになってくることがあるし、恋愛をしている人の方が幸せなのかもしれないと思えてくる。
20代、そろそろ恋愛しなければけないのか
そんな私はというと、幼いころからテレビっ子の姉の影響でアイドルが出演しているドラマやバラエティを教育テレビよりも観たのではないかというほど嗜んできた影響か、今でもアイドルが大好きでアイドルを応援することに情熱を燃やしている。
スマホのアルバムは推しとペットのうさぎの写真ばかりで、周りの友人のように彼氏とのツーショット写真なんてものは一枚も入っていない。友人がインスタグラムで彼氏とのツーショット写真をアップしているのを見た後に自分のカメラアルバムを見ると時折虚しくなることだってあるし、友人の恋人との話を聞いていると自分も彼氏が欲しいと思うことがないわけでもない。
しかし私にとって恋愛とはとてもハードルの高いものなので途端に面倒に感じてしまうし、今の自分にはどうやったって推しやペットよりも恋人との時間を優先させられる自信がない。
振り返ってみても、自分が一生大切にしたい記憶の中には推しやペットの存在がたくさんあるのだが、以前付き合っていた彼氏との思い出は大切にしたいどころか記憶すらほとんど残っていない。
自分でも最低だと思う。今までは、自分がこれで幸せなら良いのかな、と自分で自分を納得させていたのだが、ここ最近の周りの友人にはほとんど彼氏がいるという事実や、20代になって特に、将来のことを考え始めるとどうしても恋愛のことは無視できない存在となってきたのである。
いつも他愛のない会話や趣味の話で盛り上がったり自分の話を何でも聞いてくれる友人もいずれは結婚して家庭を持ち、会う機会すら減っていくのではないかと思うが、そんな時が来たら私は本格的に「独り身」になるのではないかと思うようになったのだ。自分がいつまでアイドルが好きなのかは分からないが、このまま時が経ち友人が結婚して幸せ真っ只中の時に、推しとペットだけに情熱を燃やしている自分はもしかしたら「幸せ」ではないのかもしれない、と急な不安に襲われてきたのだ。
そんな漠然とした不安を感じるようになってしまった時に友人の恋人との話を聞くとますます、そろそろ恋愛しないといけないのかもしれないという気持ちが強くなっていってしまうのも無理はないと思う。
自分の大事を全力にできるが最強説
それでつい「そろそろオタクとかやめて頑張って彼氏作んないとかー。」と何となく言葉を発してしまったその時だった。友人が「でもさ、実際推しとペットがいれば最強じゃん?」と言ってきたのだ。その時は彼氏持ちの友人の励ましにむしろ心痛くなってしまったところはあるが、なぜかその何気ない友人の一言が頭に残って、クスッと笑えるような元気な気持ちになれたのだ。
確かに、全力で好きなものを持ってる私は最強なのかもしれない。そもそも他人の幸せの価値観で自分の幸せの基準を決める必要なんてなく、自分が心から大事だと思えるものを全力で大事にできる人の方が幸せなのではないか、とその一言で気付いたのだ。
自分がこれからも一生推しとペットばかりに情熱を注いでいるのかどうかは分からないが、いつもくだらない話で笑い合える友人や自分が心から好きだと思う感情そのものを、一生大事にして生きていけたら幸せだなと思うようになったきっかけとなった一言だった。