みなさんは摂食障害という病気を知っていますか?
ドキュメンタリーなどで取り上げられることも多く、単語だけは聞いたことあるなんて人もいるはず。
一言で表すと、きちんと食事を取ることが出来ない病気で、カロリーをとるのが怖くて全く食べることが出来ない人、たくさん食べて胃が空っぽになるまで吐いてしまう人、ただひたすら食べてしまう人がいます。
私はたくさん食べて、食べて食べて食べ続けて、全てを吐いてしまっていた。
時にして10年間。
摂食障害にしては長い方だと思います。そんな長い戦いをする中で、1番苦しませてしまっている人に、今日は謝りたいと思う。
キャラの死守と期待に応えるため、食べることがストレスの種であり発散法となった
初めて食べ物を吐いた高校一年生の冬から、私は更に我慢を覚えた。
みんなの残飯処理係になり、食べたくなくてもキャラを守る為、みんなを喜ばせる為、苦しい胃に食べ物を詰め込んではトイレにいくフリをして怪しまれなき限り吐いた。吐いた後は体の芯から冷え、寒気が止まらなかった。
「もう食べれないよ」の言葉と同時に食べ物を飲み込み、「もう食べれないよ」の代わりにたくさんの食べ物を吐いた。
吐けなかった日には、体の気持ち悪さを誤魔化す為に下剤やビタミン剤、胃薬と付け焼き刃にしかならない対処法を行っては体を壊した。
少し痩せた私は、「たくさん食べるのに痩せてるね」「痩せていて羨ましいね」というみんなの期待を裏切らない為に、小さくなった胃に無理やり食べ物を押し込み、笑顔でさよならした後駅のホームで吐いた。
吐きすぎてフラフラの私を道ゆく人は、酔っ払いが歩いているのだろうという目で見ていた。
家に着くと、吐くことで奪われた体力を取り戻すべくひたすら寝て、寝て、眠り続けた。
吐かなければ24時間だって動き回れる私は、吐くことによって体力を消耗し、1日8時間動き回るとクタクタだった。
ストレスの多い社会人生活。
口にできない不満の代わりに、食べものを食べ続けた。満たされない気持ちを食べ物だけが満たしてくれた。
自分勝手な友達、機嫌で全てが変わる上司、電話に出ずに遊び呆ける彼氏、あてにならない人間と違って、食べ物は24時間いつだって私を満たしてくれた。
蝕まれる体とお金と時間。20代の私に言いたこと
けれど、代償は大きかった。
月にかかる食費はおよそ50万。吐くことによって溶け続ける歯の病院代。倒れるたびに打つ点滴。
月々の出費はバカにならず、そのお金を稼ぐ為に死にものぐるいで働いた。
みんなが旅行に行く中、ブランド物のバッグを買う中、私は食べる為に働き続けた。クタクタになるまで働いた後、追い討ちをかけるように食べて、吐き、長い眠りにつく。そしてまた食べるお金を得る為に働く。
吐きすぎたせいで常に顔は腫れていた。体型とミスマッチすぎる顔の大きさで写真に写る自分は醜い物だった。
華の20代、無駄にしたものは大きかった。
もし、きちんと食べることが出来たなら、私はプラダのバッグを片手に友達とランチに行けたのに。疲れて眠り続ける時間がなければ、1日5時間は趣味や勉強に充てる時間が作れたのに。もし吐くことがなければ、思い出の写真達はもっと可愛い自分で残っていたのに。
もし、普通の生活ができていたら、こんなに働かなければいけないなんてことはなかったのに。
もし、の後に続く、食べ物やお金と共に消え去った20代の私を考えると後悔しか出てこない。
一度きりの私の人生、きらきら生きれたはずの20代。50代になって、60代になって、死ぬ前になって、振り返る度に一生後悔するんだろうな。
せっかくの20代の大切な時間を無駄遣いしてごめんね。大切な自分に無理ばかりさせてごめんね。自分しか守れない自分を守ることが出来なくてごめんね。