21年間、恋愛感情を抱いた男性に抱かれたことがない
たかがセックス、されどセックス、他人によって重要視の違いはあるだろうけれど私の人生においてセックスはキーワードだ。
ゆるやかに、しかし確実に相手に支配される夜は大切である。私の三大欲求の一つを埋めてくれる相手。高校生の頃、それは常々恋人の役目だと思っていた。
しかし、私は二十一年間生きてきて、恋愛感情を抱いた男性に抱かれたことがない。
私の処女を捧げた相手はアルバイト先の先輩だった。最中のことはあまり記憶にない。
致した後、相手がベッドで寝て、私はその横でスマートフォンをいじっていた。
その時、三年付き合っていた元彼から連絡が来たのをとても鮮明に覚えている。
「元気にしている?」と言うような内容のLINEだった。
画面に映し出される好きだった人の名前。胸が騒ぎ出す。
それは、私の穴に誰かの棒が入る瞬間よりも、その支配的な行為よりも、私の核を熱するものだった。
忘れていた感情がふつふつと蘇るのがわかる。別れたのは四カ月前。
その間、連絡は一切していない。そして、私たちが別れた原因はセックスだった。
うまくいかなかった経験が、プライドをズタズタにした
高校生の時から付き合っていた彼とは、大学進学と共に遠距離になった。
私たちはそれでも、毎日連絡を欠かさず、その日の出来事を互いに伝えていた。
浮気の心配はしていなかったと思う、そのくらい互いが互いを信用していた。
私には彼しかいないし、彼にも私しかいないはずだった。
でも実際、そうではなかったのだ。
二カ月に一度、どちらか一方の家を訪れていた。
初めて彼の家に行った時、「ここでするんだ」と思った。
夜、私たちは体を寄せ合って映画を見ていた。エンドロールが流れると、どちらかとも無くキスをして、ベッドの上に押し倒された。
「ここでするんだ」、確信に変わった。
しかし、出来なかった。彼のものが勃たなかったからだ。
彼は申し訳なさげにキスをし、胸を揉んだりする。
そして、毎回挑む度にそれが繰り返された。時にはごめんと言うように、私のあそこを触ってくる。触られても、濡れなかった。
女としてのプライドが既にズタズタになっていたのだ。
「大丈夫だよ」と言葉では慰めることができても、私のあそこは乾燥させて意思を表す。
私のあそこだけが、そして彼のあそこも同様に、正直だった。
体を許しても、心が拒絶している
彼と別れて、私は何人もの男性に抱かれた。セックスは良かった、個人差はあってもやはり気持ちの良いものだと思う。
マッチングアプリで相手を探したりもした。
適当に右スワイプした男性と、抱かれる習慣が私の中に出来ていた。
でも時々、埋まらないものがあると感じる。
抱かれている最中、肌は相手の体内に完全に溶け込んでいると感じるのに、心だけは拒絶するのだ。
キスをした後、ゆっくり目を開くと、相手の我慢している表情が映る。
すべてを許し切っている、本能的な表情。私はそれを見て、嫌悪を抱く時がある。
それは相手ではなく、自分自身にだ。でも濡れる、見知らぬ誰かに扱われてるのに、濡れる。
結局、私の自我を支配しているのは、紛れもなく性欲なのだ。今日も埋まるはずのない穴を埋めてくれる虚像の棒を求めている。