結婚も考えて、付き合っていた彼と別れて半年くらいたったとき、今のセフレと出会った。

まだ、じめじめとした暑さが残る夏の終わりに始まった私たちの関係。それから、あっという間に数か月の時間が過ぎて気付いた時には、冷たい風が肌を突き刺すような季節になっていた。

私は幸せだ。「セフレ」と「普通の友達」みたいな彼との関係

その間、何度も何度も身体を重ね、お互いの話もたくさんして、一緒に食事をしたり映画館に行ったり、本当に幸せな日々を過ごせたと思う。

ただ、私たちはお互いの関係性をはっきりさせることはなく、私はあっけらかんと彼に直接「あなたはプロセフレだね」とからかったりもする。

私にとって初めてのセフレではないし、人並みに“大人の関係”は経験してきたけど、セフレと普通の友達みたいな関係を築けたことは初めてだと思う。

私は彼のことがものすごく大好きだし、彼の体温に包まれ、彼の腕の中で眠りにつき、私が目を覚ますと頭、頬、唇にたくさんのキスが降り注いでくる瞬間は、幸せすぎてとろけてしまうんじゃないかって本気で思ったりする。そして「時間が止まればいいのに」って乙女みたいなことを願ってみたりする。

でも、彼が私をどう想っているのかなんて、私は知らないし、知りたくもない。知ってしまったら、自分が立ち直れないほどボロボロに傷ついてしまう気がして気にならないように、そして知らないようにしているだけかもしれない。

ただ、彼が私のことを大切にしてくれていることは事実。それが女性としてなのか、人間としてなのか、お気に入りのペットとしてなのか…それはわからない。

だけど、彼が私を大切にしてくれているのは身に染みるほど実感しているし、もしそれが、お気に入りのペットとしてでも、その他大勢に対して注がれている愛情だったとしても別にいいじゃん、幸せなんだもんと思ったりする。

いつ消えてしまうかわからない「彼との関係」だからこそ愛おしい

もちろん、私だけをみてくれたらいいなって思わないことはないけれど、それ以上に、彼が幸せでいてくれたらそれで十分だなって、それだけで私は幸せなんだと思う。彼には自分の人生を生きてほしいと思うし、誰よりも幸せになってほしいと思う。彼が描く未来予想図に私はいないのだろうけど、それでもいい。

自分のことは自分で幸せにできる。そんな自信が私にはある。これまで地道に、懸命に積み上げてきたキャリアもあるし、ある程度のお金もある。

別にタワーマンションの最上階から、誰かを見下ろすような生活を送りたいわけじゃないし、欲しいものは自分の力で手に入れることができる。

そして、辛いときにはただただ話を聞いてくれたり、悲しいことも笑い話に変えてくたりするような、最高の友もいる。私の人生、これだけでたくさんの幸せに満ち溢れてる。

彼との関係はいつまで続くかなんかわからないし、もしかすると、もう会うことはないかもしれない。いつ消えてしまうかわからない関係性だからこそ、一緒にいられる一分一秒が、一瞬一瞬が愛おしいのかもしれない。

「あなたの一番になりたい」とは言わないけど、せめて忘れないで

大人になった私だから、今彼に捨てられたとしても彼に「ありがとう」って心から言える自信がある。だって、冷え切った私の心を温めてくれたのはあなただから。

だから、あなたが誰かを心から好きになって私のもとから離れていくときは、あなたの幸せをこころから願える自分でいたいし、もしも私が他の人を選ぶ時が来たら、そっと背中を押してほしい。

好きだからこそ独占したいし、そばにいたいそんな愛情もあるかもしれない。でも、私は好きだからこそ、そっと近くから見守っていたいし、彼は彼で、自分が欲しいものをちゃんと掴んでいってほしい。だって、たった一度きりの人生だから。

きっと、私があなたをこんなにも大切に思っていることはあなたは知らないし、これからもあなたに伝えることはきっとないと思う。

だけど、こんなにも誰かを愛おしいと思えた、こんな感情が私にもあるんだってことを忘れないように自分のアルバムにちゃんとしまっておこうと思う。

「あなたの一番になりたい」とは言わないから、あなたのメモリー上に私の名前のフォルダがあればいいなって、私のことをずっと忘れないでいてくれたらいいなって願うの。