私があなたをふった理由?そんなのいまさら聞かないで。まだわからないの?ほんとうに可哀想な人。しょうがないから教えてあげるね。わたしと結婚してくれなかったからだよ。
あなたの生年月日をタトゥーで刻んでもう5年。後悔はしてない
あなたは私を自らお義母さんに紹介してくれたよね。だから私もあなたを家族に紹介した。「良い人だね」ってお互い言われたよね。友人にもあなたのこと話していたんだよ。
私がさようならを告げた1週間後に、あなたのサインだけがある婚姻届をポストに置いて逃げたよね。あの紙は捨ててくれって言ったのは何故?さも戻って来てくれと言わんばかりに、何度も何度もあの紙は捨ててくれって言ったっけ。
あなたの癖字と、何度も見たあなたの苗字が刻まれた印鑑。私は捨てたよ。あなたの言われた通りにあの婚姻届は捨てた。なんなら古紙で処分したよ。きっと見つけた人は 驚いてるんじゃない?もう私の知ったことじゃないけど。あなたから離れたら、新しい人と巡り逢えたよ。
あなたの生年月日をタトゥーで刻んでから4年。いや、もう5年か。
私の人生においてものすごい大恋愛だったから、あなたのことを忘れないって意味でいれたの。
歳の差的に、あなたの方が先に死んじゃうだろうしね。私たちに別れが来たとしても、他の人を好きにはならないと思ってたから迷うことなく入れたの。後悔はしてない。消そうかなとも思ってない。そのときの私もちゃんと私だから。
なぜ私ではなかったのか? いつまでも選ばれないのだろうか
世の中の人は私をメンヘラだって笑うでしょう。間違いではないと思う。私、あなたが居ないと生きていけなかったもの。一瞬でも離れたら息がしにくかったもの。あなたもそうでしょう?私のことを誰よりも愛してたでしょう?それなのになぜ私を選んでくれなかったの?
私は生まれてくる時代を間違えてしまったんだろうか。昭和以前に生まれていたら特定の人に重宝されていたのだろうか。私は選ばれたかった。私の好きな人にただ選ばれたかった。なぜ選ばれなかったのだろう。どうして決断してくれなかったのだろう。
私の歴代の元カレさんたちは、私と別れた後の人と結婚して幸せな家庭を築いている。
なぜ私ではなかったのだろうか。なぜ私はいつまでも選ばれないのだろうか。
そうか、私はいつからか重い女になって、メンヘラ化してたのか。ただの都合の良い女になっていたのだろう。私はだれからも嫌われたくなかった。嫌われたくなかっただけ。
だからできるだけ順応した。私の気持ちや意見なんて私にとってはどうでも良かった。なんなら邪魔だった。私の感情なんて、あなたと私の間ではただの異物だった。別にあなたとの間だけではない。異性や同性関係なく、私の気持ちなんて大した価値はない。
あの場所やあの時間を思うたびに、私を想い出してください
だけどね、そんな私を可愛いと言ってくれる人がいるの。不思議でしょう?あなたが言ってくれていた可愛いとはちょっと違うの。きっと彼は本当に私を可愛いと思っている。私の写真をふとした瞬間に見ているもの。過去の私の写真でさえも微笑んでくれるんだもの。彼の目に映る私はどうやら可愛いらしい。くすぐったいけど幸せ者だ。こんな気持ち経験したことがない。
そのくらい彼との毎日は白くて柔らかい。そんな幸せな日々を送っているから、もうあなたとの瞬間を振り返ることは少ない。大恋愛とはまた違う、平凡であたたかな毎日が今の私の宝物だ。
あなたへ。どうか私のいない世界で私の幻想と生きてください。あなたが食事が喉を通るようになって、新しい出会いを探して、素敵な人と出会っても、私の幻想を見つけては苦しんでください。あの場所やあの時間を思うたびに私を想い出してください。
あなたはそれくらいすべきだ。
私の右の腰に入ったタトゥーを今日も彼は優しくキスをして抱きしめてくれる。