「ちゃんと性教育を受けたかった」
過去に戻りたいと微塵も思わないわたしが、唯一、過去を後悔するのはこのテーマである。
自分の気持ちを大事にできなかった無知な過去が今の自分を未だにチクチクと傷つけてくる。

彼女の義務と考え応じたけど、あの時の自分に教えてあげたい

はじめての「H」は、本心では望んでいなかったけど、当時付き合っていた人に、押されせっつかれ、"彼女ならそろそろ応じないといけない”という義務感のようなものではじまり、終わった。
その相手と「H」をすることは義務を果たし相手が満足することへの安堵感をわたしにもたらし、それと引き換えに自尊心を踏みにじっていった。

ひとが聞いたら「なんだ、そんなこと?みんなそんなもんだよ」と思う経験かもしれない。
でもわたしは、その時の自分に教えてあげたいことがたくさんある。

セックスは彼女の義務なんかじゃないよ。
もっと自分の気持ちを大事にしていいんだよ。
あなたの不安な気持ちを伝えても、聞いてくれない、尊重してくれない相手なら一緒に居なくてよくない?
「普通は遅くとも3ヶ月くらいでHするみたいだから仕方ないよ」って、それ何情報?"みんな"とか、"普通"とか、関係ないよ。あなたの本当の気持ちを大事にするんだよ。

「ゴムを付けて」ってちゃんと主張しなよ。
「雰囲気壊すと悪いから言い出せない」とか…その思考、危険すぎ。
てか、自らキチッと付ける男じゃないならやめとけよ。無責任で想像力ないでしょ。

「H」の知識は学校で習った「仕組み」とモラルなきファンタジーだけ

…もう、止まらないのでこの辺りでやめておこう。
それから、後に夫となる男性と出会い、本当の意味でセックスができた。
心から幸せを感じ、相手も自分もより愛おしく思える、そんな時間を過ごすうち、嫌いだったセックスが大好きになった。わたしは幸運だったと思う。
…それでもなお、過去の自分には後悔が無くならず、今もわたしをブルーな気持ちにさせるのだ。トラウマとなっている。

もし、学校や家庭で性のことやセックスについて、学ぶ機会をもらえていれば。
そういう本や漫画などに出会えていれば。ネットの記事を読んでいれば。
わたしは、わたしの心を守ってあげられていたかもしれない。
でも残念なことに、わたしが「H」について仕入れた知識は学校で習った「仕組み」と、時に青年漫画以上にモラルなき少女漫画や現実離れした洋画などファンタジーからのみだった。

性教育として知るべきことを、自分の子どもや必要な人に伝えたい

子どもが産まれて、情報収集をしていくなかで、子どもへの性教育をテーマにした本の紹介を読んで衝撃を受けた。
なんと、性教育は3歳頃から始められるというのだ。これは私にとって朗報だったし、これから夫と相談しながらしっかり子どもたちに伝えるべき情報を提供したいと思っている。
わからないだろうと、幼い子どもにわいせつ行為をしようと狙っている人間が後をたたないし、同年代の子どもが興味本位で相手を傷つけるわいせつな行為をすることがある。わたしの子どもには、その被害者にも加害者にもなって欲しくはない。
性のこと、セックスのことはプライバシーに関わるしナイーブだし、やっぱり気恥ずかしいから語りにくい。
わたしは親友であっても自分からそういう話はできない。
でも、社会として知らせるべきことはある。
言いにくいからと、何も知らされないことは間違っているのではないか。
だからわたしは自分のできる範囲で、性教育として知っておくべきことを、自分の子どもをはじめ必要な人に伝えていくつもりだ。
わたしのように、なにかしらのトラウマがある人は少なくないはず。
これからの未来、性的なものによって、女の子が自分を嫌いになったり、自信を失うようなことが無くなればいいな。そんな想いを込めて。