振った、振られた。なんて興味深いのだろう。別れ際に本性が出るとはよく言ったものだし、別れた理由にも建前と本音の2種類があるだろうと思っている。学生の恋愛でも大人になっても、それは変わらないだろう。

小学生の頃の淡い気持ち。離れても、年月が経っても忘れられなかった

私の初めての彼氏は、小学校時代の同級生。とは言っても、当時から付き合っていたなんておませな小学生ではない。5年生の時に両想いだった相手と高校1年生の時に付き合ったのだ。

小学生だった私たちは、お互いの好意に気づきつつも何もできなかった。たまに関われるだけでとてつもなく嬉しかった。そんな淡い関係だったが、私は小学校卒業と同時に遠く離れた県へ引っ越し、離れてしまった。そして、引っ越すから同じ中学には行けないんだということは彼に言えなかった。

それから3年。私はずっと彼のことが密かに好きなままだった。部活がとても厳しく他のことを考えている余裕がなかったことと、周りにいた人達をあまり魅力的だと思えなかったことで、他の人に目を向けるという発想がさらさらなかった。一方的にでも、ただ彼を想っていることが幸せだった。

付き合うのが初めての高校1年生同士。遠距離でうまくいくわけがない

そんな、私の中で思い出のようになっていた彼への想いが実現する時が来た。中学校を卒業した後の春休み、3年ぶりにかつて住んでいた県へ遊びに行った。その時に、私と1番仲のよい友達が彼のアドレスを手に入れ、私が来ていると連絡してくれたのだ。

3年ぶりに会い、話をした。お互いに3年間忘れられなかった、ということを確認しあった。そこで、遠距離になってしまうけど付き合おうという話になったのだ。

ここまでの経緯を人に話すと、「素敵すぎる」「ドラマみたい」とよく言われたが、問題はここからである。

いくら3年間お互いを忘れられなかったとはいえ、付き合うのが初めての高校1年生同士が遠距離で交際を始めたとて、うまくいくわけがないのだ。彼がそっけなくなるのに2か月はかからなかった。

LINEは未読のまま1週間放置された。お揃いのストラップを作って送ったら「届いていない」の一点張り。当時の私はバカ正直に信じ落胆したが、そんなわけはないだろう。
どんな意図があってそんなことを言ったのかはわからないが。

誕生日も祝ってもらえず、まったくと言っていいほど連絡も取れず、もはや名義上の彼氏と化していた。

本当に私のことを想ってくれていたのだとは到底思えない

それでもなんとか1年近く、その名義上の関係は続いた。珍しく彼から連絡がきたと思ったら、別れを告げられた。

「遠距離で全然会えないし、忙しくてかまってあげられないし、近くにいる人と付き合った方が君にとっていいと思う」。彼の言葉は覚えていないが、そんなニュアンスだった。

確かに、彼はほぼ男子校のような工業高校に通っている一方、私は男女比半々の普通科高校だった。私の周りにはたくさんの素敵な男子たちがいた。そういう人たちと付き合った方が私のためだと。

男女比がどうだとかそばにいられるだとかはどうでもよくて、その時の私にとっては「彼と付き合えていること」が幸せだったのだ。あんな放置された付き合いで辛いことの方が多かったのは事実だが、それでも彼のことが狂おしいほどに好きだった。

そんな私に対して彼は「こうした方が私のためだから」と別れを告げてきたが、付き合っている間にまったくと言っていいほど優しくしてくれなかった彼のことだ。悪いけれど、本当に私のことを想ってくれていたのだとは到底思えない。

その後何年経っても彼に会うことはできない。きっともう会うことはないが、私の初恋の人であり初彼氏であり、初めての元恋人だ。出会えたことには今でも感謝している。