私は大学生だ。大学生だから、別に働かなくても生きていける。多くの大学生がバイトをしているが、別にしなくてもいいものなのだ。

お金のためにバイトをしようと思っていたけれど、コロナ禍で様変わり

そんな私が働く理由は至って簡単である。
お金が欲しいからだ。
そのお金の使い道は実に様々だ。友人達と遊んだり、好きなものを食べたり、旅行に行ったりといった経験を買うこともできるし、ものを買って物欲を満たしてみたり、応援したい、支援したいと思った人に使うこともできる。至って使い方は色々ある。
そして人はお金があると何か安心感を感じ、精神が安定する。心に余裕が生まれるのだ。
だから私はお金を稼ぐためにバイトをしようと思っていた。

しかし、コロナ禍で私が働く理由は大きく変化することとなった。
大学に行かず、休みの日も課題があったり、流石に人通りの多いところに行くのはいくら感染対策をしていても少し抵抗がある。そして感染のことに気を遣って外に出るというのはなんだかいつでも気を張っていなければならない気がして、1人で外出するにしても、今までの外出よりもなんだか疲れてしまう。それならば用意するのも面倒だし、感染も怖いしと家で過ごせばいいのでは、と思って、家で過ごす時間というのが本当に長くなった。
ちょっと友人と会いたいなと思っても、地元に友人がいない私は友人と会うにも基本県外に出なければならず、地元で1人で出かけるのすら億劫になっている私にとってはハードルが高く、抵抗もあった。そして仲の良い友人達の中には親から外出を止められている子も少なくない。
だから結局電話やZoomで話すだけになってしまっていた。

学生達と接することで数ヶ月間失っていた社会との繋がりを感じられた

こんな時でも人と交流することができる場、それがバイト先となっていった。
大学がオンラインでとなった中でのバイト。私も最初の緊急事態宣言が出た頃はバイトに受かっていたが、バイトに出勤するのを躊躇していた。しかし、私はこのコロナ禍のオンライン授業や、なかなか友人達と会えない状況が苦しく、無気力状態になり、部屋とリビングにしかいられない状況に行き詰まっていた。

初夏、少し感染状況が落ち着いてきた頃、バイト先から連絡があり、感染対策ができているようだったので出勤を始めることにした。
私のバイト先には学生達が多く来る。その学生達と接することで数ヶ月間失っていた社会との繋がりを感じることができた。そして唯一ここでは同世代の人と接して、まともにコミュニケーションを取る場となった。閉塞感を感じていた現状に少し光が差し込んだ。

他人に対して、感謝と思いやりを持って大切に接していこう

今となってはバイト先での人間関係がめんどくさいなと思うこともあるが、このコロナ禍でも唯一人と接することができる場があり、コミュニティを形成する事が出来ないこの状態で、ある程度の決まった関わりを一定期間保つことができるということで、人間としての生きる意義を保つことができていると私は考えている。

このような社会の状況の元、私の働く理由はお金を稼ぐことから人とのつながりを持ち、私に生きる意味を見出させることへと大きく変化したわけだが、このコロナ禍で人との関わりが、こんなにも人間にとって大切なものだったのか、と強く感じるきっかけになったことは間違いない。これからはもっと人と関わる時に他人に対して感謝と思いやりを持って、大切に接していくことを心がけていきたい。