「かわいい系?きれい系?」
日常で男性が主に繰り広げる、女性への「タイプ分け」である。
一般手的に女性の系統として挙げられるものは「かわいい」か「きれい」である。たまに「かっこいい」系が出るくらいだろうか。ただしこれはキレイの派生型が多い。

なぜ、女性のポジティブな称賛文句は「かわいい」と「きれい」しか広まっていないのだろう。さらに言ってしまえば、大人になってつきつめるならば「きれい」しか残っていない。
称賛の語彙が増えるのが一番なのだけれど、まずその第一歩として「かわいい」の褒め言葉を、もっとナチュラルな位置づけにしたい。「かわいい」の賞味期限を不問にしたい。

大人の女性への「かわいい」には、謎の賞味期限が存在する?

悲しいかな、世間では大人の女性は「綺麗」が望ましいという風潮がある。
蛹は蝶になり、雛鳥は美しく羽ばたかなければならず、シラスは成長しないとなんの魚かわからないといった状態だ。「大人」になって「魅力的」になることを「綺麗になったね」と一般的には称される。

その一方で、なんとなくないがしろにされてしまうのが「かわいい」という表現だ。大人でかわいい、大人に対してかわいいという姿は「ぶりっこ あざとい、計算し、作り込んでいる」という風潮がある。
「かわいい」はどことなく幼気さに付随する特権で、期間限定品の称賛だと認識されがちだ。大人になって「かわいい」といわれる時、ちょっとした悪意を感じることがある。まるで賞味期限が切れたお菓子を食べてしまったかのような、まるで一瞬ぎょっとした顔になってしまう。

大人の女性の「かわいい」には謎の賞味期限が存在しているように思える。

問答無用の外ハネボブ。なんだ、大人だってばっちりキマってる

先日髪の毛を久しぶりに切った。イメチェンで切るぞ、切ったら大人っぽくなるかなと意気込んだ上で美容室に向かった。何回かカットしてもらって、ここの美容師さんならば大丈夫!と意を決し切りに行った。

短くしたい、ということだけを伝え、あとはおまかせしたところ、美容師のお兄さんは真顔で躊躇なく即答でこう言った。
「問答無用でかわいい系にします。ハネると思いますけどそのままにして活かします」
頼もしさと潔さがナイスだ。推せる。兄貴ついていきます。そう思い切ってもらった。
大人っぽく、無難に、そんな邪念も切り払ってもらった気がした結果、癖毛のセミロングは5年ぶりに肩よりも短い「外ハネボブ」になった。
大人の女性の髪型にしてはハネ方がやけに可愛いような、と思ったが私の癖毛を活かした髪型に仕上がった。

別に、大人の女性だから、歳を取ったから落ち着いてきれいにしよう、無難にしようではなく自分が持つ個性で「かわいい」がばちりとキマった瞬間だった。
何より「かわいいからOKだぞ。わたし。」と思えた。賞味期限ないじゃん。と自分に背を押してもらった気がした。

もっとナチュラルな、賞味期限のない「かわいい」を大人にも

全員が蝶々にならずとも、もう一回脱皮をしてもいい。なんならそのまま成虫になってもいい。小さな魚でも「おとな」な生き物はたくさんいる。成体だってウサギや猫は十分かわいい。
ナチュラルな成長から経られる「綺麗なおねえさん」、それに対して「大人のかわいさは作り物で賞味期限切れ」なんて思われないような服装だったり髪型だったり、ジャンルがもっと世に増えれば良いのにと思う。
というか、「かわいい」を漢字で書くと「愛することが可能」で「かわいい」なのになぁ。「かわいい」は大人にだって自然に生まれてよい称賛であり、大人にもプラスで使われてよい文句になって欲しいと私は思う。

自然に、かわいい大人のお姉さん。
かわいいに賞味期限も有効範囲もあるものか。かわいいは永久不滅の褒め言葉なのだ。ぜひぜひ、もっとスタンダードになってくれますように。