私の元彼は、世間知らずの子犬でした。
高校2年の冬、大学受験を控えた私達はお互いに分からないところを教えあったり、時には友達に言えない悩みを相談したりと友達以上恋人未満の関係が続いていました。
付き合うことになった彼との初デート。大人っぽい彼の優しさがとても嬉しかった
そして2月14日。バレンタイン。私は彼にチョコを渡しました。
それを受け取った彼は、「付き合おう」と一言。ドラマのような展開に驚きつつも、私は二つ返事で付き合うことになりました。
彼はとても大人っぽく、責任を感じやすい私にいつも「大丈夫?」と声をかけ支えてくれました。私の体調が悪くなって学校で倒れた時には、一番に駆けつけてくれて、その時に食べられそうな物を差し入れしてくれました。
後から聞いた話ですが、私の友達にも「しんどそうな素振りを見せたら、すぐに俺に教えて」と伝えていたそうです。
2人で会って話すことは頻繁にありましたが、受験を控え、お互いにハードルの高い大学を目標にしていたので、なかなかデートをする所まで踏み込めずにいました。
そして遂にデートの日。カフェに行ったり、お互いの好きな所を巡って、凄く楽しい時間を過ごしました。
彼は高校生ながら財布は出さなくていい、と言ってくれていました。
『高校生なのに凄いなぁ。両親は何も言わないのかなぁ』とは思っていましたが、そんな彼の優しさがとても嬉しかった事を覚えています。
「電車に乗ったことがなくて、帰り道がわからない」彼からの電話に私はドン引きした
そしてデートも終わり、自宅へ帰っている時、私の携帯が鳴りました。電話は彼から。
すると「帰り道、どの電車に乗ればいいのかわからないよぉ。駅員さんにも恥ずかしくて聞けないし。今までママに遊ぶ所まで送り迎えしてもらってたから、電車に乗ったことがなくて」と話す彼。
その言葉に、私はドン引きしました。
さっきまで財布は出さなくていいなどと、クールに大人っぽく接していてくれていた彼がまるで真逆の子犬のように泣きそうな声で私に話してくるのです。
また、お互いに地元の行き慣れた場所をデート先に選んだにもかかわらず、遊ぶときは場所まで17年間も親に送り迎えしてもらっていたなんて、過保護にも程があると思ってしまいました。
その時は助けましたが、一度引いてしまった感情は元には戻らず、その後も彼の言動の子供っぽさがダメになり、振りました。振った時も私の目の前で大泣き。
「なんで別れるの。僕、何か悪いことした?」と子犬のように泣きつかれましたが、私はそういうタイプが苦手だったので、別れるという決心には変わりませんでした。
今では、お互い友達に。ひどいことをしたかなとも思うけれど、別れて正解だった
それから卒業まで、友達に戻ることもなく一言も話すことなく気まずい関係が続きましたが、卒業式の日に彼から「写真撮ろう」と声をかけてきました。
一眼レフを持っていた友人が写真を撮ってくれ、その時私は「変な形で振ってごめんね」と謝りました。
今では、お互いに友達として連絡をとっています。私に本当に尽くしてくれサポートしてくれた彼にはあの時、ひどいことをしてしまったかなと少し思いましたが、あのまま付き合っていたらきっと子犬キャラが強くなっていく一方だったと思い、別れて正解だったと思いました。