好きな食べ物も一緒、嫌いな食べ物も一緒。お気に入りのアーティストも一緒。お互いそこそこお酒も飲むし、共通の趣味もある。私にとって、彼以上に気が合う人なんて他にいないと思っていた。

でも、彼から告げられた別れの理由は「価値観が合わないから、もう好きじゃなくなった」だった。

付き合って「ずっとこんな時間が続けばいいのに」と思っていた

彼と出会ったのは、大学のサークル。途中から入ってきた彼は、今までの私の好きなタイプとは違ったけどかっこいいなって思って、共通の趣味もあったから気が合えばいいなとは思っていた。

何回かご飯に行き、話が弾んで仲良くなって、いつしか好きになっていた。自分なりに、彼の一番の理解者になれるように努力してみた。そうしたら、恵まれたことに願いは叶って、彼から告白してもらって付き合うことになった。

付き合っている時は、本当に幸せだった。お互い実家暮らしだったから、家でゆったりしたりはできなかったけれど、講義が終わった後はご飯を食べに行ったり、休日は遠くへ出かけたりして充実した時間を過ごした。

大学生になって初めて、飲食店のお祝いプレートを予約して誕生日をお祝いした。ずっとこんな時間が続けばいいのにと思っていた。でも、それは皮肉にも私だけだったみたいで。付き合って5ヶ月たったあたりで、呆気なく振られてしまったのだ。

恋愛において「価値観が同じ」つてそんなに大切なのか?

「何が駄目だったんだろう」と友達に聞くと、大抵「私も、彼も悪くない、合わなかっただけだから次の人探しな!」と言われる。これが男友達に聞いても、女友達に聞いてもほぼ同じような回答。私は、心底失望した。

付き合う報告をした時は、あんなにも「お似合いのカップルだね」と言って喜んでくれたのに。手のひら返しにも程がある。

恋愛において、価値観が違うということが大きな障壁になる、ということはよくいわれているから理解はできるのだが、よく考えてみてほしい。そんなに価値観が合うことが大切? そもそも考えていることが全く同じで、価値観が何一つとして違わないことなどあり得るのだろうか。

もし、あり得るとしてもそれはとんでもなく低い確率だろうし、逆にそんな相手と付き合っても刺激も何もなくてつまらないのではないか? 結局は価値観をすり合わせて、より心地の良いお付き合いをしていくための労力をさこうと、思うほどの気持ちがなくなってしまったという方が正しいのではないか。

なんてこと言ったところで、彼の心が戻ってくることはない。

私は彼にとって「価値観の合う人間」になり得ないのかもしれない

やっぱりこんなにも自分が気が合うと思っていた相手に冷められてしまい、好いてもらえないというのは悲しいものだ。今になっても彼のことを思い出す。

私のどこがいけなかったのと問いたいけれど、そう思う時点で私は彼にとって価値観の合う人間になり得ないのかもしれない。彼と価値観が合う人間であると証明するためには、あれこれ責めたいのをぐっと堪えて、違う道を進んでいくしかないのだ。

もし今後、彼が「この人となら価値観が合う」と思う、心から好きな人に出会えたなら、
きっとその人は何千万分の一とかいう、とてつもなく低い確率で巡り会えた運命の人だろうから大事にしてあげてね。

まあ、いないと思うけど。