ずっと好きだった君がデートに誘ってくれた。
「デート、可愛くして来てね」と君は言った。
君がデート前と同じように接してくれなくなった「理由」を考えた
初めてデートに行った日、君から手を繋いでくれた。歩くのが遅い私に、歩くペースを合わせてくれた。「俺、あまり人に心開かないんだ」と打ち明けてくれた。
デートの帰り「また今度どこか行く?」と言ってくれた。だから、今度は私からデートに誘った。でも、君は誘いに乗ってくれなかった。
君が好意を寄せてくれたかもと思ったていた私は、ただ都合のいい女として扱われていただけなのか、もともと好意なんて持たれてなかったのか、就活で忙しいから私にそっけないのか、私が君を冷めさせてしまったのか……。君が前と同じように私に接してくれなくなった理由をたくさん考えた。
君から手を繋いだのに、どうして。
私は、君を責めた。でも、分かったんだ。私は、君が私のことをどう思っているかということばかり知ろうとして、君自身のことは何も知ろうとしなかった。
君はいつも私の話を聞いてくれた。だけど、君はいつも自分から君のことを話してくれないから、君は時々何を考えているか分からない。そうやって、君のことを知ろうとしなかったことを後悔した。
次に君に会えるときは、たくさん君に尋ねたい。あのとき私のデートの誘いに乗ってくれなかった理由なんかじゃなく、君の好きなものや嫌いなもの、君の価値観を知りたい。君のことをもっと理解するんだ。
君といるときの私を思い返すと、君のことが好きか分からなくなった
そう決めて1ヶ月が経ったとき、SNSのこんな投稿に目がとまった。「その人といて幸せになれるかどうかは、その人といる自分が好きかどうかだ」。
君といるときの私を思い返す。思い浮かんだのは、自分の考えを聞かれても君がどう思うかばかり考えて、自分の思ったことを素直に言えなかった私だけだった。そのことに気づいて、君の好きなところ、君と出会った頃のこと、君とのデートのことも思い返す。思い返して考えるうちに、私は君のことが好きか分からなくなった。
君の好きなところは、気遣いができるところ。君と初めて出会った日「女の子が夜中に1人で出歩いても大丈夫なの?」と女の子扱いされるのに慣れていなかった私は、君のことが気になり始めた。君がデートのとき、わざとらしく「迷子になるから手、繋ご?」その言葉に君からの好意を感じたこと。
思い返すこと全てが「君が私に好意を寄せてくれているように感じたから、私は君のことを意識していたのかもしれない」そう思わせた。
私が好きな君は、私のことを好きでいてくれる君だけなのではないか。私は私に全く好意を寄せてくれない君でも、好きでいられるのか。
君が私のことをどう思っているかが、私の幸せを決めるわけじゃない
君に振られることよりも、本当は君のことが好きじゃなかったことが、分かってしまうことの方がずっと怖い。君がいるから頑張ろうと思えた日々が、なくなってしまうから。
君と会って確かめることができない今、その答えは分からない。それでも、どんな答えが出ようと、私は幸せになれる希望がほんの少し見える。だって、君が私のことをどう思っているかが、私の幸せを決めるわけじゃないって気づけたから。
これは、間接的に君に振られた私が、振られた理由を考えることをきっかけに、君と、恋愛と、私自身と、ちゃんと向き合うことができた3ヶ月間の話。