「ウェディングドレス 似合う 選び方」
最近、気がつくと検索しているこのことば。
Aライン、ベルライン、プリンセスライン。背の高い私へのおすすめはスレンダー、マーメイドライン。
…小さい頃に憧れたお姫様のイメージとは違うけれど、きっとこっちの方が、私には似合う。

隣にいてほしい「彼」は、別の子の隣で笑っている

一昨年は大学の友達が2人結婚した。
去年は中学の同級生が2人出産した。
今年は小学校からの大親友が入籍する。
…私には、彼氏もいなければ、この美しいドレスを着る予定もない。

自分の人生に後悔なんて1ミリもない。
でも、どうして、彼女たちには、あんなに素敵なお相手がいるんだろう。
私の何がダメだったんだろう。
…どうして、私がドレスを着る時には隣にいてほしい「彼」は、別の子の隣で笑っているんだろう。

とあるパーティーで出会ったあの人。
たまたま隣の席で、たまたま趣味が一緒で、それで、デートを重ねていただけの人。
それだけならば良かったのに、彼は私にとってのはじめてのデート相手で、ついでに言えば、はじめて私のことを好きになってくれた人だった。
ただ、異性からの直接的な好意に慣れていなかった私は、本当は嬉しいのに戸惑い、自分の気持ちは棚に上げ、彼を試すような言葉を口にし、そうしてやっと自信をもてるようになった時には、彼の心が離れてしまっていた。
その後、どうにもならない理由で遠く離れた場所で暮らすようになり、新しい場所で、彼は別の、素直に気持ちを受け止めてくれる女の子に出会ったと聞いた。
そうして今年、彼とその子は結婚する。

「彼女との幸せを心の底から願っている」と伝えた

ふと、目が引き寄せられる。
「マーメイドラインにオーバースカートの陰影が美しい2 in 1ドレス」
平均より10cmは高い私の身長に映えるマーメイドラインと、その上にふんわりと広がるオーバースカートの組み合わせが上品なドレス。
身体の良いところを引き立ててくれそうで、かつ、憧れだったお姫様のようなシルエットに、ただただ惹かれた。

彼と私の話には、実はちょっとした続きがある。
ほとんど喧嘩別れのように離れてしまった私たちは、共通の友人に会うたびに、「今あいつどうしてる?」と互いの近況を尋ね続けていた。別れてもう5年、いい加減にお互いを気にするのはやめたら、という友人の言葉に背中を押された、電話越しの15分。その15分でやっと、「あなたのことが大好きだった、だからこそ、彼女との幸せを心の底から願っている」と伝えられた。
もう会うことはないし、連絡をとることも二度とない。でも、彼の、甘くほろ苦い声が呼ぶ私の名前と、少し涙混じりの「ありがとう」の響きは、私の耳に永遠に残っている。

はじめてだらけの恋。私にぴったりではなかったのかも

私があなたを大好きだったのと同じくらい、あなたが私を大好きでいてくれたこと、今ならちゃんとわかる。
でも、はじめてだらけのあなたとの恋は、プリンセスラインのウェディングドレスのように、私にはぴったりではなかったのかもしれない。
だから、もっと似合いそうなドレスが他にもみつかったように、あなたとあの子が出会ったように、私もこれから「誰か」に出会えるかもしれない。

そうやって、着る予定のないドレスを一晩かけて探して、昔の恋を思い出して、ちょっとだけ泣いて。
そんな夜がありました、という、それだけのお話。
でも、こんなに気に入ったドレスだもの。「誰か」に会えても会えなくても、いつかフォトプランを予約して、最高に綺麗な私を撮ってもらおう。