小学4年生くらいのとある授業、大体の人がこんなセリフを耳にしたことがあるのではないか。「今日の授業は男子と女子で分かれます。女の子たちはあっちの教室に移動しましょう」。
そして、その言葉の意味もよくわからないままゾロゾロと列を作って、女子だけ別室に移動。そう、これが日本式の“初めての生理のお勉強”だ。
無意識に「生理=恥ずかしい」という概念が社会に漂っている気がする
生理について細かく、分かりやすく教えてくれる保健の先生の声は、心なしかいつもより控えめだった気がする。わざわざ男子をこの場に入れないで、女子だけにして説明しているというのに、絶対に外に聞かれてはならない秘密のように、ひそやかに授業をしていた。その様子に私たちは、無意識に生理はとてもプライベートなことで、大声で話すのはよくない、恥ずかしいことなのだと刷り込まれてしまっているのではないだろうか。
私は、“生理=恥ずかしい”という概念が、なんとなくこの社会全体に漂っている気がしてしまう。生理は、身体を健康に保つために備わっている自然な現象だ。そう考えれば、くしゃみやあくびと大差ないように思える。
しかし、なぜか生理前や生理中のさまざまな不快感や副反応的な症状、生理用品の使い分け方や少しでも楽に過ごすための薬の情報などついての共有は、まだまだ不足しているように思う。私がそう感じたのは、低用量ピルを飲み始めたことがきっかけだ。
もともと生理不順の私は、強いホルモン剤で3ヶ月に1回、生理を起こしていたのだが、たった10日で生理を開始させるだけあって、その副作用がとにかくきつい。個人差はもちろんあると思うが、私はその薬を飲むと体調が悪くて、リビングで毎回廃人状態になっていた。
低用量ピルについて知識がなくて「危なそう」と思い込んでいたけど…
2年ほど我慢して使っていたけれど、ついに耐え切れなくなり、そのことを思い切って主治医に伝えると、「低用量ピルに切り替えてみましょうか?」と提案してくれた。同世代の子のリアルな生理事情について知る術もなく、生理についての正しい知識をどこで集めて良いのかも分からず、なんとなく恥ずかしくて友達ともそんな話ができなかった私は、“ピル=人工的な薬”、“危なそう”と思い込んでいた。
そのせいで、ピルを選ぶことを躊躇したのだが「これ以上強い薬には耐えられない」その気持ちが僅差で勝利し、ついに初ピルに踏み切った。恐る恐る。初めて薬を飲んだ1ヶ月の間はずっと、不安でそわそわしていた。
けれどこれが、私にはピッタリだったのだ。今までの薬より副作用も楽で、生理前後の身体と心の不快感も軽減された。いつ生理が来るのか予想できることで、予定も立てやすくなった。「なんだ、ピルって怖くない」新鮮な驚きでいっぱいになったのと同時に、「なぜピルと生理について今まで知ることができなかったんだろう、他の人の体験談をもっと早く知りたかった」そう思った。もっと早く知っていれば、あのつらさを無理に我慢しなくてよかったのに、とそう思わずにはいられなかった。
生理について会話する場が少なくて、日本の女性を苦しめていないか?
生理についての知識を発信、受信するプラットホームの少なさ。これが日本の女性の生理を、よりつらくしてしまっているのではないか。私のように必要な情報に出会えず、迷子になって、味わわなくてもいいはずの苦しみに、がんじがらめになっている女性はまだまだいると思う。
そして、この状況を生み出している根幹に、“生理=表に出してはいけないもの”という刷り込みが影響していると思う。それはおそらく、あの保健の時間に幼い少女たちの胸に芽生えてしまうのでないか。
これからの時代、もっと生理はオープンになっていいと思う。パートナーや友人と気軽に悩みや不安を共有できる、生理に対して気軽な雰囲気の漂う社会を作り出していくべきでないか。生理の授業も男女共同参画を目指していきたい。