可愛い物が大好き。身に着けるのは勇気要るけど、リボンとかレースとかピンクとか、可愛い物見たらテンション上がる。自分で自分の機嫌取らなきゃいけん時代、可愛い物を目から取り入れて自分を鼓舞するのは超大事。

とはいっても、よ。それにも限度があんじゃねえのかって話。

ガチの農家で楽しく働く私が、唯一悩んでいる「長靴問題」

私はいわゆる「農業女子」。そう言ったら聞こえはいいけど、ただ単にそういう仕事に就いたってだけ。家でプランターにちょこちょこ野菜植えてインスタに上げるような、そんな可愛いもんじゃない。広い土地、くっせえ肥料、泥だらけの作業服、三十キロのコンテナ。そんなものに囲まれた、ガチの農家。好きでその仕事に就いたから、そこそこ楽しく仕事さしてもろてる。

ただ、一つ私を常に悩ませる問題がある。通称「長靴問題」だ。
農家の必須アイテムこと、長靴。こいつが無ければ仕事にならない。何せ台風後のぬかるんだ畑にずんずん踏み入ったり、鋭利なとげ草のある道を切り開いたりといったことは日常茶飯事。斜めに折れて槍みたいになった木の枝が落ちてたり、時には毒蛇に気付かず草むらを踏みしめたりもする。そういう時に乙女の足を守ってくれるのが、頼もしき長靴ってわけ。

長靴は消耗品。頻繁に買っているが「女用少なすぎん?」

そんな環境で長靴を酷使すると、やっぱ消耗も速い。どんな強い敵キャラにも弱点があるのと同じで、頑丈な作りの長靴にも弱点がある。
「繋ぎ目」だ。
長靴というのは、基本ゴムで出来ている。平たく伸ばしたゴムをパーツごとに切り分けて、それを貼り合わせて作る。だから必ず「繋ぎ目」というのが出来てしまう。足首を曲げたり、大きな力がかかって長靴が変形すると、一番に弱くなるのはその「繋ぎ目」の部分で、そこが限界を迎えると破れる。豆ごはん作る時、エンドウ豆をさやから外した経験ある? 袋状になったさやの「繋ぎ目」を押したら、ぱかっと破れて開くでしょ。ああいうことよ、要は。

これは色んな長靴を試した私の見解だけど、「長靴はたとえ高いのを買おうが安いのを買おうが、破れるときは破れる」。だから私は頻繁に安い長靴を探して買ってる。
で、ここで問題が生じるわけだ。「長靴、女用少なすぎん?」問題。

いや、一応あるにはある。でも、「無駄な装飾が付いてる」物が多い。例えば、ワンポイントとしてベルトが付いてたり、リボンが付いてたり。それが何を意味するか、もう分かってもらえるよね?
「繋ぎ目」が増えんのよ。「弱点」が増える。破れる可能性も格段にアップする。

私が欲しいのはな、「男物と同じやつ」なのよ。黒くて、軽くて、超絶シンプルで繋ぎ目が少なくて、入り口が巾着みたいに締められるやつ。アレ。アレが欲しい。メンズのとこに売ってる、あの一見ダサく見える奴。アレが欲しいのよ。

数少ない「農業女子」の声にどうか寄り添ってくれません?

買えばええやん、メンズの売り場で。そう思う人もいるかもしれん。
でもな、メンズの長靴は「メンズサイズ」なのよ。デカいのよ。足小さめの私が履けるサイズの物は無いのよ。
長靴の中に中敷き入れたらええやん。そう言う人もいるかもしれん。一回やってみてほしい。動きまくると百パーセントの確率で、中敷きがつま先の辺りにぐしゃっと溜まってウザいから。

もし私が長靴の開発部に行ったら、めちゃくちゃデカい声でどんなに反対されても押し通す。「メンズと同じ色、軽さ、見た目のやつを、レディースサイズで作りましょう」って。

農家やる若い人減ってるって言うけどさ、一応少ないけどやってる人もおるんよ。もしかしたら何か理由があって開発されてないだけかもしらんけど、一応言っとく。
長靴開発してる方たち、数少ない「農業女子」の声にどうか寄り添ってくれません?
出たら絶対買います。