先日、SNSで繋がった高校時代の友人に久しぶりに会った。
卒業以来、なかなか会う機会がなく、実に10年ぶりのことだった。思い出話に花が咲き、数々の忘れ去られていたエピソードが飛び出す。
その中でも特に印象的なものがあった。
「obakeは当時付き合っていた彼氏が夢に出てきたとかで、その夢を描いてくれたことがあったっけ(笑)」
私本人は全く記憶になかったが、JKだった私はそれなりにドン引きなことを平気でやってのける、いわゆる「メンヘラ」と呼ばれる部類だったようだ。そして、今回こちらで書き認めたい"あの子"とは、このメンヘラに付き合ってくれていた当時の彼氏、M君のことである。
優しい彼との恋愛。自己肯定感が低い私は不安ばかりで…
高校入学当初、私は、遠方の学区から一人通っていたこととコミュ障のダブルパンチで、なかなか友達作りが上手くいかず苦戦していた。
そんな時、気さくに話しかけてくれ、グループの輪に引き入れてくれたのが隣の席のM君だった。
恋愛経験も大してなく、人とのコミュニケーションに困難を感じてしまう私からすると、M君の優しさはまさに天から降り注ぐ光のようで、その光に導かれるように異性として好意を抱くのも自然な流れだった。そして、その道筋に沿うように付き合い始めた私達。
(当時を思い出して書いてみると、どうしても夢見がちと言うかメンヘラっぽい表現になってしまう(苦笑))
最初は順調そうに進む関係なのだが、徐々に私の心の闇が邪魔をし始めた。
若気の至りもある、と今となっては言い切りたいところだが、当時の私はとにかく自己肯定感が低く、好きをはっきり言葉で伝えてもらわないと不安になる厄介なタイプだった。
周りにはいつも可愛い女の子がいて、取られたくないかった
自分よりスタイルが良く、可愛らしくてお洒落な子は周りに山ほどいる。どうしてこんな何処にでもいそうな野暮ったい私を選んだのだろう。
内面もまた然り。鬱屈とした面倒くさい性格の私なんかより、明るくて誰からも好かれる感じの良い子が近くに居ることもを知っている。
内心、M君は、その子と付き合えたら良かったと思っているのではなかろうかと考え出すとキリがなく、どうしても自分に自信が持てず、思考が歪んでいった。
M君の好きを確認したくて、毎日電話をし、メールをし、会える時はなるべく会った。とにかく会いたかった。会って一緒にいる時間を多く確保することで私を近くに感じていて欲しかったし、その間は他の人に取られまいと思っていた。
生まれて初めての彼氏で完全に浮かれており、当時は結婚することも想像したし、高校に入って出会った繋がりだったのに、彼のことを一番よく知るのは自分だと勝手に自負していた。
呆気なく終わりを迎えた関係。彼は浮気をしていたのだ
しかし、そんなM君の意思を無視した自分中心の関係は長くは続かなかった。
「obakeと居ると息が詰まるよ」
そう言われ私はフラれた。
あんなに好きを伝えてもらっていたのは嘘だったのではないかと疑心暗鬼になるほど、呆気ない最後だった。
その後、一度、M君からの告白で復縁したこともあるが、結局音信不通となり別れた。
少し経って気付いたが、M君には既に他のオンナがいて、私はそのキープとしての存在だった。
一度目の破局で私達はもう戻るべきではなく、終わっていたのだ。
それからというもの、私はM君を憎んだし、それ以上に自分を憎んだ。
自分の全てを捧げてきた気でいたのに、最後は浮気で幕を閉じたこの儚い関係。だが、一度目の付き合いで、M君の首を絞めてしまっていた張本人は自分であることも分かっている。
もし私が寛容な心を持っていて、M君を縛り付けていなくても愛を感じられる人間だったら、この関係の辿り着く先はまた違っていたかもしれない。
思い返せば、毎日強制的に好きを言わせなくても、随所でM君の想いは感じていたし、今となっては「好き」のたった二文字の効力を過信し過ぎていた。
私の理想とする恋愛はあくまでドラマやマンガ上でしか起きないストーリーで、現実世界で同等のことを求めてしまうとメンヘラと化し、重過ぎる恋愛になっていたのだ。
失恋経験を経て「幸せ」になるために、自分を変えると決めた
この高校時代の苦い失恋経験から私は変わった。変わらなければ、二度と幸せな恋愛は出来ないような気がしたから。
もう誰も傷つけたくないし、自分も傷つきたくない。メンヘラに陥ってしまうほどの自己本位な恋愛は辞め、勇気を出して相手を信じることにした。相手にも恋愛のペースや価値観があることを理解し、中には自分と合わずに長く続かない人もいたが、幸い今は気が合う主人と出会い、結婚まで漕ぎ着け幸せに過ごしている。
もしもM君と出会わなければ、こんなに辛い思いをすることはなかったかもしれないが、彼との付き合いがあったからこそ、自分の弱さを見つめ直し、人として一歩成長することが出来た。
と言いつつ、私もパーフェクトな人間ではないから、浮気をされた怨念はきっと忘れはしないが、一応は一皮剥けさせてくれたM君には感謝したいと思っている。
また高校時代の友人に再会することがあれば、私のビックリなメンヘラエピソードが飛び出す可能性はなきにしもあらずだが、それも今の明るい未来に繋がると知ると、なるべく前向きに捉えて笑い話に変えていきたいものだ。
まあ、そうは言っても恥ずかしいことは恥ずかしいのだが……。
触れられるまでは、この黒歴史はそっと閉まっておこう(苦笑)。