あの子がいたから、今の私がいる。たぶん届かないけれど、あの日のことを思い出して、私の気持ちを言葉にします。

突然会えなくなってから、7年。元気にしていますか?

あの子にとって、私が女の子の中でも特別なんだって勘違いしていた

私の入学した高専は女子に人気の学科がなくて、ワースト3に入るぐらい女子が少なかった。入学した時の女子は、160人中たったの12人。1割に満たないけれど、それでも「多い方だね」と先生や先輩方に言われた。奇数になるのを配慮して、1クラスの女子は4人。女子がいないクラスもあった。

高専に入学して、最初はやっぱり女子がクラスに4人だけだったのが心細かったけど、あの子がいたから楽しかった。一緒に大富豪したり、サマーランドに遊びに行ったり、あの子の家に遊びに行ったり、私たちは男女6人グループでまるで普通の高校生みたいだった。

結局、詳しく聞けなかったけれど、入学してわりとすぐにあの子が言った「私、女の子好きじゃない」には色々な事情があるんだなと思った。私だって、陰口言われたり、根も歯もない噂に傷付けられたりしたけど、それでも女の子は好きだった。一緒にいたいと思った。

「女の子は好きじゃない」の後に続いた「だけど、あなたのことは好き」とあの子に言われたこの言葉が、別に性的な意味は一切ないことは分かっていて、それでいて真に受けてしまった。あの子にとって、私が女の子の中でも特別なんだって勘違いしていた。

私は純粋にあの子に会いたくて、悩んで泣く日々を過ごした

あの子にとって、私は特別でもなんでもなかった。カテゴリは“一友人”で、私より仲の良い男の子がいて、アニメにも漫画にもゲームにも詳しくない私といるより楽しそうだった。同性にしか分からないことがある! とかそんなことは全然なくて、私といて楽しいのか不安になって、少なくとも私はあの子といると辛くなった。

いつも私から話しかけてることに気づいてしまった時には、一緒にいたいけどあの子が何を考えてるか分からなくて、一緒にいればいるほど辛いという矛盾に苛まれた。そんな矛盾と自分にだって、よく分からない感情を泣きながら打ち明けたのが、当時のクラスメイトで、後に5年付き合った元彼氏だった。

その日は、突然だった。成人式の次の日から、あの子はぱったり学校に来なくなった。なんで来なくなったのか、理由なんて全く分からなくて、ただ会って話がしたいと思った。

あの子に送ったメールは返信が来なくて、あの子に会いに1時間以上かけて家に行った日には、門前払いだった。会わないことが優しさなのか、私のことなんて好きでもなんでもなかったのか、そこまでする私が煩わしかったのか、今になってはどれも正解で、どれも不正解のように感じる。

あの頃の私はただ、純粋にあの子に会いたくて、どうしたら会えるのか悩んで、ただ全力であの子と向き合っては泣いている毎日だった。

「私は」あの子に会えなかった。でも、「私以外は」あの子に会えた

あの子が学校に来なくなってから、私はあの子に会えなかった。“私は”、あの子に会えなかった。“私以外は”、あの子に会えた。「あの子と一緒に遊びに出かけた」「話してきた」「ラーメン食べに行った」そんな話をクラスメイトの男の子たちから聞いた。私はその度にあの子が元気なんだって思う反面、胸が引き裂かれる思いだった。

なんで? どうして? 私には会ってくれないの? メールすら返信してくれないの? あの子に誰も会えなければ、私だって会えなかったんだ…で終わる話だと思っていた。でも、違った。会えなくて話もできなかったのは、私だけだった。

結局私は会えないまま、あの子は退学した。担任から退学したと告げられた時、私にできることは何もなかったんだと悟った。同時に、一つの区切りのように感じた。

どれだけ思っても、大切にしていても、一方的で伝わらないこともあることを知った。あの子と過ごした時間は楽しい思い出ばかりではなかったけれど、あの時逃げないで全力で向き合ったから、今の私は前を向いている。あの子のことを思い出しても、もう私は泣かないよ。