私は小学生の時、空手の道場に通っていた。
小学六年生の時、小学五年生の男子が嘔吐した。胃腸風邪の知識は持っていたのでまずは換気をしようと窓を開けに行ったら椅子にどかっと座った会長に「なんで女の子が率先して片付けてやらないんだ!黙ってさっさとやれ!」と怒鳴られました。
その道場には女子は二人しかいなく、その他全員は男子です。
私ともう一人の女の子は顔を見合わせて固まった。
誰かのお母さんが率先して「私が片付けますから、二人は練習を続けて大丈夫よ」と言ってくださいました。
そうすると会長は「この二人にやらせなさい!一人はそいつを便所へ連れて行き、もう1人は拭き掃除をしなさい!」と言いました。

平等が不平等へと変わった。周りにはたくさん人がいたけど、孤独でした

小学六年生の私はおかしいと思いました。
私も男子と同じ練習代金を支払っていたし、なにより試合の前でした。
でもやるまで会長に怒鳴られ続けます。
誰かの「お母さん」は率先して手伝うと言ってくれたのに誰かの「お父さん」は気付かぬフリして知らんぷりしていました。
「早くやれ!!」と1歩も動かない会長動くまで怒鳴られ続ける私達
これが社会の縮図だと今これを書き出しながら20歳の私は気付きました。
結局私達2人だけで片付けました。
他の男子達は試合に向けて見て見ぬふりしながら練習を再開してます。

すごくイライラしました。
なんで他人の汚物を私達女の子は率先して片付けるべきなのでしょうか。
誰しも汚物は出ますし、なのに片付けるべきなのは女子に限定されるのでしょうか。
平等な物が不平等へと変わった瞬間の出来事です。
結局終わっても誰かのお母さんに心配されただけでした。
私の周りにはたくさん人がいたけど、孤独でした。

会長の奥さんは看護師。私達は看護師扱いを受けていたと思いました

練習終わりの帰り道、もう一人の女の子文句を言い合いました。そしてあれはおかしかったと会長に言いに行こうと二人で話しましたが、結局躊躇って何も言えなかったのです。
大人の大声はただでさえ怖い
大人に断言されてしまえばもしかしてこれが普通で当たり前でこんなことを思っている私達はすごく残酷なことを思っているのかと不安になりました。
吐いて辛いのは分かります助けてあげたいとも思いますがそこに強制される筋合いはありません。
あとから聞いた事ですが会長の奥さんは看護師だそうです。
それを聞いた私は私達は無償の看護師扱いを受けていたということを悟りました。なぜ私達は無償で白衣の天使にならねばならぬでしょうか。

二十歳になり周りの男性達が女性に求める理想の職業は保育士、看護師が上位に上がって来る度、思い出します。
なぜ幼い私達まで理想の天使を演じさせようとするの。
会長だけがおかしいのではありません。周りの男子、誰かの父親、誰かの母親全員がおかしかったのです。

“親友”にフェミニストへの批判に共感を求められ、戸惑いました

でも女性が声を上げる度このフェミニストが!と批判してくる人たちがいます。私はそういうことを言う人は男性だけだとひどい勘違いしてましたが、これには女性も含まれていたのです。
私が親友だと思っていた女性が「フェミニストってほんとうるさいよね」と共感を求めていた時とても戸惑いました。なぜそう思ったのと聞いてみると「フェミニストの批判のせいで漫画の表現の幅が狭まっている」と言われました。

私は有名な男性漫画家が「昔の漫画は規制がゆるくて良かった」と口を揃えて言っていることを思い出しました。今は漫画の出版業界も不況で少年漫画は「ヒロインが可愛くおとなし
い性格で、主人公にだけエロい漫画しか売れない」とよく耳にします。
これは日本の女性に求められている女性像そのものだと思いました。

まさに男性にとっての理想の天使。
都合のいい女。
少年が対象の漫画でそれはどうなのでしょうか。
今の時代人生で一度も漫画を読まないなんて人はいません。
老人達は消えていきこのまま悪い文化は消え去れば良いというのに漫画で継承されていってしまっているのです。
これでは何年経っても女性の理想像はアップデートされません。
私は漫画の文化における女性の理想像改正を求めます。

それからもう会長は亡くなり、私は空手を卒業しました。
親友だと思っていた人とは距離を空けるだけではなく、説得しお互いの想いを伝えあってから親友に戻るか、距離を置くか決めようと思います。