年を重ねるごとに、誰かを好きになることが困難になっていっている気がしている。

忘れることがないであろう出会いと経験を記しておこう

好きなタイプは好きになった人、だけど好きになるまでの過程にはそれなりの条件が必要でその条件が思った以上にあることに気づくと同時に、もし今の彼と別れるようなことになったら私は未来の旦那様を見つけるリスタートを切らなければならない。
考えるだけで骨が折れる思いだ。
現時点で私は今の彼と結婚する気でいるし(彼もそう言ってくれている)彼が最後の恋人だと思っている。これから先誰かを好きになることはないだろうと一応の区切りをつけているからこそ、今までしてきた恋愛の中で忘れることがないであろう出会いと経験を記しておこうと思った。

家まで相合傘をして、同じアパートに住んでいた彼とは

バイト終わり、最寄りの駅につくと雨が降っていた。
傘を持ち合わせていなかった私は腕で頭を覆いながら家へと急いだ。途中、横断歩道の信号機が青から赤へと変わり足を止めていると降り注いでいた雨がパッとやみ、頭上に一つの影が落ちた。頭をあげるとそこには、傘を差し出してくれた私と同年代ぐらいの男性が立っていた。
彼は「傘、あげるよ」そう言った。
断ったが彼は家がすぐ近くだから大丈夫だと言い、私も近くだからと続けて言うと、それじゃあ途中まで、となった。
相合傘だ、そんなことしたこがなかった私は、胸の高鳴りが聞こえてしまうのではないかと思えるぐらいにドキドキしていた。まるで少女漫画の一部分を切り取ったようなこんなロマンチックなシチュエーションが私に訪れるなんてと、頭の中でプチパニックを起こしていた。そして偶然か運命か、私達は同じアパートの住人で声を揃えて、驚き、顔を見合わせて笑った。

それから連絡を取ったり、お互いのバイトが終わる時間が被れば一緒に家に帰ったり、時には家を行き来したりしたけれど、特に何かあるわけでもなく、お互い彼氏と彼女が出来たのもありそれきりになってしまった。

苦手と思っていた、チャラついたバイト先の彼。好意は受け取れず

バイト先で出会った同い年の彼は、180以上ある背と襟足まで伸びたブリーチされた髪は見るからにチャラついていて、私が苦手とするタイプだった。ぶっきらぼうで怒っているのか?とよく思った。
第一印象から仲良くなることはないと思っていたけれど、当初の思いとは裏腹に気づいたら仲良くなっていて、オールしてまで一緒に遊ぶ仲になった。
バイト中に脇腹をつつかれ、驚いて顔を向けるととニヒルに笑い「イタズラ」と言ってきたことや、バイトが終わると先に帰っていたのにいつからか待っていてくれるようになったこと。月末に送られてくるシフト表を見て、彼と重なっている出勤日を確認するようになったこと。私の家でバイトのメンバー数人と宅呑みをして、友達がコンビニに行っている間にキスをしたこと。

キスなんてものをしておいて付き合わなかったのは、お互いのタイミングが合わなかったからだった。
別れ際の彼氏がいた私と気になっていると女の子がいると言っていた彼。
彼は私が別れる前に別の子と付き合い、私が別れてから数ヶ月も経たないうちに彼女を振って言い寄ってき彼に一種の幻滅のようなものを感じ、彼の好意を受け取ることが出来なかった。

彼らは私との出会いをどう記憶し、解釈しているのだろうか

今では連絡先すら分からない。彼らにとって私との出会いをどう記憶し、解釈しているのかは知る由もない。
運命的でロマンチックな出会いが2Dの世界だけでなく3Dの現実世界にもあること。付き合うか付き合わないかの瀬戸際が誰かを好きだと思う最中で1番楽しい時間だということを彼らに会えたからこそ得ることができ、教えてもらった。
その全ての記憶と経験はきっと忘れることはないだろうし、忘れたくない。