あれから8年の月日が経った今でも、私はあの子を時々思い出す。
クラスで無視されていた私に、優しく接して「愛おしい時間」をくれた
その子と私は、高校1年の頃出会った。高体連のプラカードの練習で偶然隣になり、意気投合して毎日の様に一緒にいた。
当時、私はクラスで無視をされていた。心ない言葉や態度に傷つき、心はいつでも壊れる寸前だった。そんな時「辛い時はいつでもおいでよ」と私に居場所を作ってくれたのはあの子。休み時間や授業が被った時、私のところにすぐに来てくれて、クラスという戦場のような場所から連れ出してくれた。
あの子の周りにいる友達とも繋がって、たくさん楽しい思い出ができた。泣いてばかりの日々に生まれた、笑顔になれる時間。優しく、温かく、愛おしい時間だった。道を踏み外しそうになった時は、しっかりと繋ぎ止めてくれた。どうしてこんな私に? 偶に思うことがあっても、「大切な友達だし、困っている人がいたら助けるのは当たり前よ」と言ってはそんな不安を掻き消してくれたね。
「あなたは1人じゃない。私がいるよ」と、あの子の言葉は私の心にたくさん響いた。慰めてもらっただけではない。未来に進む一歩を踏み出す勇気をくれた。あの子がいたから、今の私がいる。夢を叶え、好きな仕事に就いた。素敵な友達に恵まれ、大切な人に愛してもらえている今がある。
私が今明るく幸せな気持ちでいられているのは、すべてあの子のおかげ
私にとって高校時代は数え切れない辛い重く、苦しい思い出ばかりだ。でも、あの子と過ごした時間は、いつだって綺麗で愛おしい。たくさん喧嘩もしたけれど。
きっとあの時だけじゃなく、今もあの子の言葉を思い出しては、先に進む活力になっている。間違いなく。あの子が私にたくさんの優しさをくれた分、私はそれを誰かの為に還元しようと思えるようになった。あの子みたいに、私も誰かの支えになりたくて。
それだけではない。騒がしい日常に埋もれてしまいがちなささやかな幸せも、ちゃんと愛せるようになった。「おはよう」とか「また明日ね」なんていう些細な挨拶の尊さだったり、道端で健気に咲いている小さな花に勇気づけられたり…。
あの時、泣いた分を取り返すんだ! という気持ちで、色んな人と一緒に笑う時間を作るようにもしている。笑っている、それだけで心が前向きになる。そして、傍にいてくれる誰かの心まで、明るく照らせるはずだと信じている。
今、私がこんなに明るく幸せな気持ちでいられている。それは、すべてあの子のおかげだ。あの子が支えになってくれたおかげだ。
たくさんの幸せに包まれ、笑顔いっぱいの日々を送っていることを願う
高校を卒業してから地元を離れ、私たちはなかなか会えなくなってしまった。互いに忙しい日々を送っていて、連絡も取れなくなってしまったけれど、元気にしているだろうか。
きっとあの子のことだ。たくさんの幸せに包まれて、笑顔いっぱいの日々を送っている。苦しんでいる人に手を差し伸べて「一緒に頑張ろう」なんて言って、誰かの傍で笑っているのかな。あの時と変わらないあなたのままだったら、私はそれでとても嬉しい。
どんなに遠くにいても、何があってもいつでもあなたのことを思っているよ。心からありがとう。またいつか笑顔で会おうね。