物凄く自信過剰であることは重々承知だが、生まれてから24歳ぐらいまでの間、私の人生は非常に順調だった。
部活をすれば部長になり、受験や就活では第一志望に通ってきた。
唯一落ち込んだ事と言えば、高校時代の失恋ぐらいだったが、むしろそれがバネとなり受験勉強がはかどった。
なので私は、この世は自分の努力次第でどうとでもなり、自分の人生が思い通りにならないと悩んでいる人達は努力不足だと一刀両断していた。落ち込む暇があるなら、何かしなさいよと。
今となれば、何て自己中心的で狭い視野で生きていたのだろうと思う。

「もっと頑張りなよ」そう言ってしまう自分を責め始めた

25歳の時、長く付き合った人と別れた。本当に本当に大好きで、最早私の分身で、今後の人生ずっと一緒にいると思っていた。
でも彼は一つだけ、ある問題を抱えていた。それは彼の努力によってしかどうしようも出来ないことであり、私は見守ることしか出来なかった。
問題を解決しようという努力が中々見えない彼に対し、私なら何としてでもその状況を変える努力をするのに、何故あなたはしないのと言ってしまいそうになるのを、彼を追い詰めてはいけない、努力の基準は人によって違うのだからと押し殺し続けた。
彼自身も悩んで元気を無くしていたので、そこに更に追い討ちをかけるようなことを言いたくなかった。
でも、どうしても思ってしまう。もっと頑張りなよと。数回そう言ってしまった後は、とてつもない罪悪感に押しつぶされそうだった。
彼もなりたくてこうなっている訳ではないのに、言ってしまったと。この罪悪感は行き場が無くなり、最終的には、私が他人に厳しすぎるんだ、私は大好きな彼にまできついことを言うような生きる価値の無い薄情者なんだという結論を作り上げた。

彼の力になれなかった無力感と、生きる価値が無いという絶望感

自分を攻撃し始めた私の体調は急激に悪化した。
家にいる時は涙が止まらない、休日は一日中起き上がれない、SNSとテレビがしんどくて見れない、お酒を一口でも飲んだら気を失うことも度々起こるようになり、何より、もう生きていたくないという感情が常に脳内に渦巻いていた。
このままでは自分が壊れてしまうと思った私は断腸の思いで別れを告げた。私も彼も号泣だった。彼の方が精神的にきつかったのは間違い無いのに、最後まで優しくて私を大事にしてくれた。

彼のその問題の点以外は、本当に全て大好きだった。勿論、将来結婚するつもりだった。
あの頃は地獄だった。別れると体調は少し回復したが、彼の力になれなかった無力感と、自分は人を苦しめる存在で、生きる価値が無いという絶望感は消えなかった。常に周りから責められているような気がして、原因不明の恐怖感があった。

自分の今までの性格や思考回路ではありえないことだった。私が希死念慮を抱くなんて。
自分の努力ではどうにもならないことが人生にはあるんだ。努力しなよなんて正論が言えない状況があるんだ。どうにももう頑張れないことがあるんだ。逃げが甘えとは限らないんだ。
私は今まで何て傲慢だったんだろう。自分の基準でしか物事を見ていなかった。これまで一体何人に無意識の内にキツいことを言ってきたんだろう。
こんなどん底にならないと、気付かなかったなんて。
25歳にして、初挫折だった。自分の人間性に絶望した。

やっと、あの挫折も必要なものだったと思えるように

あれから2年間、私は自分に対する絶望感を何とか消化しようと色々試してみた。本を読みまくったり、有名人のスピーチを見たり、日記を書いたり、自己分析をしたり、したい事リストを作成して実践してみたり。
すると段々、自分の人生を充実させるためには何をしたら良いだろうと考えることが出来るようになった。やっと、あの挫折も必要なものだったと思えるようになった。

付き合っていた時も別れてからも、私に色々なことを教えてくれた彼には永遠に感謝し続ける。本当はずっと一緒にいたかったけど、どうしようもなかったね。しんどかったね。
自分の傲慢さに気付くきっかけをくれてありがとう。お陰で、皆色んな事情があるのだと、少しは人に優しく出来るように変わることができた。
本当に、ずっと幸せに生きていてほしいと心から思っています。