始まりは、高3の夏。まだ未来にワクワクした気持ちを持っていて、大学生になったらあれがしたいこれがしたいと、たくさんの希望を胸に秘めていた頃。
彼との出会いは、必然だったのだろうか。彼は「初めて会った時から気になってた」と言うけど、私は正直何とも思わなかった。ただの友達Aの友達B。女子校での生活に慣れていた私は、少しだけ緊張したかな。
彼に告白されたけど、友達を失うことが怖くて応えられなかった
彼とは、ただ波長があった。変に取り繕わず、素の自分でいられた。俗に言う“女の子”らしくない私でもいいと思わさせてくれた。
私は人の気持ちに敏感な方だと思う。だから、好意を感じることはよくあった。でも、その好意を断ることが苦手だった。受け入れてもらえないショックを私も知ってるからだ。だから、私は好意を感じるとフェードアウトする。告白させない酷い女なのかもしれないが、私にとっては優しさの一つだった。
彼の好意は感じていたが、イケメン・高学歴・高身長の3点揃いの彼が、垢抜けない田舎の女子高生をしてる私に恋愛的な感情を持っているとは思わなかった。
しかし、彼は突然「好き」と言ってきた。私は戸惑い考え込んだ末、「友達でいよう?」と返してしまった。久しぶりにできた男友達だと思ってた。これから大人になっても仲良くしたいと思える人だった。付き合って上手くいかなかったら、もうこの関係は戻ってこないのかと不安だった。自信もなかった。これが現在まで私に付き纏い切り離せない、鎖で繋がれた彼との始まりだった。
彼以外の男性と会っても、いつも「彼」を思い出してしまっていた
確かにこの時、私も彼を「好き」だったと思う。久々にできた男友達のような安心する関係。ただただ、素の私でいられたことが大きかった。
高3から大1まで、3回くらい付き合うタイミングはあった。素直になれない天邪鬼だった私は、本当に馬鹿だった。どんな男の人と会っても、彼以上の居心地の良さを感じることはなかった。むしろ、いつも彼を思い出してしまった。彼だったら…と。
大2の冬、私はようやく気づいた。私は彼が好きなんだと。私はいつも自分の気持ちに気づくのが遅い。人の気持ちには敏感なくせに。
私は可愛げのない女だ。比較的何でも出来る彼よりボウリングのスコアを取るし、バッティングセンターでもバシバシ打つ。苦手な卓球も次第に上手くなって、失敗したら可愛いとされる場面でも上手く返球してしまう。可愛げのない女なのだ。
「ほんと可愛げねーな!」「ほんとウザい」と言いつつ、優しい笑顔で私を見つめる彼が大好きだ。
彼が告白する時、私が告白する時、私達は「タイミング」が合わない
私は彼に2回「好き」と言った。彼も私を「好きだ」とは言いつつ、今度は昔の私になった。「付き合って別れて仲悪くなるのが嫌だ」と。「何で今なの?もっと前にタイミングあったじゃん」とも。
その通りだった。私たちは、とことんタイミングが合わない。好きだと伝えた時期は、いつも彼が忙しくなる前だった。私は2回フラれた。しかし、彼は3回も私にフラれてた。
嫌いなところも好きなところもたくさんある。どんなに嫌いでも、忘れることはできなかったし、辛い時しんどい時に、ふと会いたくなるのは彼だけだった。
素直になりつつあるのは、彼の前だけだった。3回目の好きを伝える前に、私は天邪鬼を卒業しなければならない。好きなら「好き」、会いたいなら「会いたい」、一緒にいたいなら「一緒にいたい」と素直に伝えなければならない。
私はそろそろ3回目の好きを伝える。私は女の子らしくないのだ。絶対に引き下がらない。