幼い頃に両親が離婚し、祖父母の家に引っ越してきた。祖父母からは暴力を受け、父親からの愛を知らずに生きてきた私は「絶対にこんな大人にはならない。愛した人と一生幸せな家庭を築けるような、永遠の幸せを手に入れたい」と思うようになった。
その思いが強すぎた私は、俗に言う「メンヘラ」になっていた。
辛い気持ちを相談できなかった。外見で分からせないようにした
付き合った相手が少しでも女友達と話すことも、連絡を取ることも嫌った私は、毎日苦しい思いばかりすることとなった。好きだと言う気持ちを伝えてくれた人が少しでも女友達と絡んでいると、私は好きなわけでも無いのに嫉妬して、相手を困惑させてしまうことも多々あった。
友人は、辛い時はいつでも相談するようにとたくさん言ってくれた。しかし私は、なかなか人に相談することはできなかった。話しても私の気持ちを完全に知ることはできないし、私の過去も知らないし、何よりその友人は幸せそうだった。
私と似た部分が多いその友人に多くを相談していたが、私が何度も人を傷つけてしまった経験から、自分が話すだけで不幸な気持ちが移ってしまう。私は生きているだけで人を傷つけてしまうとまで感じたことも少なくはなかった。
何回も何回も死にたい消えたいと思い、腕にできる傷は増えていった。そんな私は外見で心の闇をわからないようにしようとした。
アイドルのようなぱっつん前髪に触覚、女子高生らしくスカートを折って自分の好きな女の子になった。
万人する服装や髪型も良かったけど、本当の私が分からなくなった
その中で最も私の世界観を落ち着いたものにさせたのはインスタグラムだった。本当は黒や青の色が好きだったが、インスタグラムの世界の私は白やブラウンを基調としたお洒落な女の子だった。白やブラウンも好きだったが、最も好きな青を選ばなかったのは「みんなブラウン系統の方が好きだから」。
万人受けする服装や髪型だったが、そんな私も好きだった。自分が自分を好きでいられればいいと思っていた。
しかし外の世界に出てみると、みんな私と同じような服装をしていた。街を歩く女の子もお店の店員さんも。そして服屋のマネキンも同じだと言うことに気づいた。万人受けする服を着ていたから当然なのだが、それに気づいた私はとても不思議な感覚に陥った。
どれが私でどれがマネキンかわからなくなった。本当の私はどれなのか、どうなりたかったのか分からなくなった。
だけど私は私を見失ってはいなかった。自分の好きな色はやはり青だったが、可愛いと思う服はブラウン系統のものが多かった。それは私の本心だった。自分の好きなアイシャドウを塗って、好きな服を着て外に出てみると私は世界に1人しかいない気がした。ここにしかいない私を、私の存在を誰かに認めて欲しかった。
前を見て、好きなものに囲まれた私は、希望を持って生きている
そこからは私の好きなものだけで私の周りを埋めてみた。私のことを大切にしてくれる人だけを大切に思い、何を大人に言われても決して反抗はせず、でも心の中では自分の人生を大人に決めさせるわけないと強く思った。
ずっと憧れだったアイドルのオーディションも受けてみた。性格はきっと変わることは無ないと思うけど、考え方次第で生き方が大きく変わると思った。
今の私は前を見て、やりたいことだけを考えて希望を持って生きていると思う。少なくとも悩みの種は以前よりも減った。
早く地獄を抜け出してユートピアに辿り着きたい。私が私であることを大切な人たちに認めてもらいたい。もう生きているだけで誰かを傷つけてしまうなんて思いたくない。自分が最期まで自分を信じられるように。