あの歌詞を送ったら、父にブロックされた。伝えたかったのは憎しみの言葉ではなくて

~憎しみの言葉は実は愛の裏返し~
あれは8年前のこと。
お父さんが浮気したことがきっかけでお母さんと離婚して別れた後、私たちはお母さんについて行きました。その後私たち子供とお父さんは交流もあったのですが、再び寄りを戻す予定になった途端にまた浮気して、私たちを置いていきました。
段々メールでの連絡が来なくなって、私も厳しい言葉をかけてしまって……。その繰り返しで悲しかったことを覚えています。お父さんのことが好きだった私はその当時好きだったRADWIMPSさんの五月の蝿という歌の歌詞を送りました。
その歌詞は、かなり過激で、僕は君を許さないよというフレーズが入っています。そのためか、その歌詞を送った直後お父さんからラインはブロックされ、二度と返信が来ることはありませんでした。今はもう連絡先も知らず、連絡を取ることもできません。
(父方の祖父の家に、新しいお家でできた男の子と写っている写真があり、元気で暮らしているようです)
しかし私がその時、本当に伝えたかったのは、ただの憎しみの気持ちではありませんでした。
本当に伝えたかったのは、お父さんのことが大好きだったということ。
この歌は、いろいろな捉えられ方がありますが、愛していた分憎しみも大きいということも伝えているのではないかと当時から思っていました。
私は不器用だから、父親としてのお父さんを好きだと思っていることを言っていいかもわからず伝えられなくて、憎しみの言葉の方をかけてしまいました。愛していたからこそ、その分裏切られた時の悲しみ・怒り・憎しみも強かったのだと思います。
(愛と憎しみが紙一重だということを知ったのはその時でした。)
今もし伝えられるなら、お父さんが忙しい朝にチャーハンや、卵かけご飯を焼いた美味しいお好み焼きを作ってくれたこと、下手くそな私にキャッチボールを教えてくれたこと、逆上がりができるまで付き添って練習してくれたこと、みんなで夜に花火をしに行ったこと、どれも楽しく、大切な思い出だということ。
今は、お父さんと新しく付き合っている人との間にできた子に対しても、私は「こんなに可愛い子が生まれてきたなら、これでよかったんだ」と、思えています。だから、これからはお互い幸せになれたらいいなと思っています。
憎んで終わったのだと、そう思われているのなら、そうではなく、精一杯育ててくれたことに感謝していて、私はお父さんのことを愛していたんだと知ってもらいたいです。
最近、離婚率が上がって、母子家庭や父子家庭になる子供も増えているように思います。
みんなそれぞれに成長の段階の途中で起こる出来事に葛藤はあると思いますが、経験した私からすると、楽しかった・温かかった思い出も、確かに胸に残っているものです。
だから、お母さん・お父さんたちには、この先長い年月の中で関係性がどうなるのか分からなくとも、今家族で一緒に過ごす時間を大切にしていってほしいなと思います。
人間は、生きていく中で離婚や離別があったとしても、別れたという事実だけ残るものではないということ、それまでの間にあった素敵な出来事も心の中に残るということを伝えたいです。
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