『あの子』との最初の会話。かなり緊張してたのを覚えている

『あの子』がいたから、今のわたしはとても幸せだ。
『あの子』に出会ったのは5年前の夏。
運動がしたかった私は地元のサークルに入ろうと考えていた。運動は好きだけど得意ではない私は、「初心者歓迎」と書かれているサークルを見つけ行ってみることにした。
サークル活動時間は午後6時から。初めてのサークル参加でドキドキを抑えきれず1人で集合場所に行った。

中に入ると『あの子』がいた。
「はじめまして。今日から参加するみみです。よろしくお願いします。」
「はじめまして。僕も初めてきて今日からなんです。よろしくね。」 
『あの子』との最初の会話。かなり緊張してたのを覚えている。
サークルの活動時間は3時間ほど。あっという間に時間は過ぎて1日目が終わった。

1週間が過ぎてまたサークルの日になった。
私が行くとまた『あの子』と2人だった。
「みんな来るの遅いね。」
4つ上の『あの子』は会話をリードしてくれて仕事の話や趣味の話で盛り上げてくれた。
みんなが集まってきたあとも、
「一緒にやろ!」
と誘ってくれた。人見知りな私の緊張がとけはじめたのはこの時かな?

何回目かのサークルの日、『あの子』は私を、
「僕もう1個サークルに入っててもしよかったらそっちにも来ない?」
と誘った。私の返事はもちろん「うん行きたい!お願いします!」だった。
そうして『あの子』に会えるのが週1から週2に増えることになった。

「僕が迎えに行ったらたくさんサークルにも来れるでしょ!」

季節は秋から冬に変わって、私の住んでいる街では雪が降りはじめた。
この頃の私は初心者マークをつけた運転歴1年目のへたっぴ。サークル活動場所までは車で30分くらいかかるため、雪が降ったら行けないことが多くなった。

久しぶりのサークルに行った日、やっぱり『あの子』と2人だった。
「わぁ!久しぶりだね!なにかあったの?」
「私の家ここから30分くらいかかるし、運転今年1年目だから雪が降ったらなかなか来れなくて...…」
「じゃあこれから迎えに行ってあげるよ!」
「!」
『あの子』の家と私の家は反対方向。サークル活動場所は私たちの家の間にある。
「遠いよ!大丈夫だよ。」
「事故ったら危ないし、僕が迎えに行ったらたくさんサークルにも来れるでしょ!」

次のサークルの日、『あの子』は本当に迎えにきてくれた。初めてで一人暮らしの家を教えるのは怖かったので、近くのコンビニが集合場所だった。
「遠くなかった?」
「全然大丈夫だよ!」
『あの子』はいつも笑顔で話してくれた。

帰りももちろん送ってくれた。
「今日はありがとう!気をつけて帰ってね。」
「また迎えにきていい?」
「大変だよ!申し訳ない。」
「大丈夫!僕がしたいの。」
こうしてサークルがある週に2回、『あの子』は必ず迎えにきてくれた。

サプライズの誕生日ケーキ。嬉しさで涙が溢れていた

「そういえば誕生日いつだっけ?」
「もうすぐだよ。今月の28日!」
「そしたらクリスマスも兼ねてパーティーしないとね。」
『あの子』とサークル以外で会うのは今日が初めてだった。
『あの子』とあの子の友達とサークルで知り合った共通の友人と私の4人でクリスマスパーティーをした。
豪華なご馳走を食べてお腹いっぱいになりのんびりしてる頃、「ハッピバースデートゥーユー」という歌とケーキが用意された。
びっくりしたのと嬉しさで私の目からは涙が溢れていた。

帰り際、『あの子』と2人になり、
「今日はありがとう!すっごい楽しかったし嬉しかったよ!」
と伝えた。いつも笑顔な『あの子』の顔が曇っているように見えた。
沈黙の時間が続き『あの子』が言った。
「あのさ...もしよかったらなんだけど...僕と付き合ってもらえませんか。」
私の返事はもちろん「はい!よろしくお願いします!」。

こうして私は『あの子』と付き合うことになった。私たちの交際は順調に進み6ヶ月目で結婚し、今では2人のかわいい子供に恵まれている。
『あの子』がいたから、今のわたしはとても幸せだ。