お父さん、あなたがいなくなってから初めてメッセージを送ります。
こんなときでもないと言えないからね。
17年前。いつもは強い母が、棺桶の前で感情をあらわにしていた
私が小学1年生の頃だから、もう17年も経ってるね。
今はもう24歳だよ。
お母さんも、もう四捨五入したら60歳のおばさんだよ。
お兄ちゃんも仲は相変わらず悪いけど、なんとかやってるよ。
あっという間だったような、長かったような、時がたくさん過ぎてしまいましたね。
小学1年生の記憶なんてほぼないけど、まさか出張に行ってそのままいなくなるとは、信じられなかったよ。
あっけなくいなくなってしまったお父さんのせいで、お母さん大変だったんだよ、きっと。
今でも、棺桶の前で、崩れ落ちて泣き喚くお母さんのことは覚えてるよ。鮮明に。
普段は全く取り乱さないし、メンタルも最強なお母さんだけど、あんなに感情をあらわにするお母さんは後にも先にもこの時だけでした。
今思えばだけど、そこからパート働きなのによく2人をちゃんと学校にもいかせて、育ててくれたよね。相当な辛さがあったと思うの。でも弱音は一切吐かずに何不自由なく育ててくれたの。
感謝しとかないかんよ。
「なんもお礼してない」小さいながらに後悔した私が今、伝えたいこと
って上からもの言ってるけど、あの時私は小さいながら後悔したんだ。
あれ、なんもお礼してないって。
お父さんがいるうちにもっと仲良くすればよかったって。
でももういないから、してあげたくてもできないの。
あー、これが後悔ってやつかって。
なんで最期も会えなかったんだろうってね。
何もしてあげられなくてごめんね。
でもね、そんな悲しい経験が私の人生の柱になってると最近思うの。
お父さんがいなくなったから、その分お母さんのことを大切にしようと思えたし、お父さんがいなくなったから、もしものことは訪れると悟ったし、お父さんがいなくなったから、今のうちにやりたいことをやろうと思えたよ。
気づけばうちの人生のほとんどは、この経験が軸になってるよ。
普通に生きてたら見逃していたことかもしれない、大事なことを教えてくれてありがとう。
そのおかげで当たり前のことにも感謝できる大人になれました。
周りにも感謝ができるようになりました。
でもまだまだ子供だから、相変わらず生きづらい世の中だといつも思う。
生きていくのも大変なのよ。
大黒柱の父。折れないように、どっしり私の心の中で座っていてね
そう思った時、ふと、家帰ってからもずっと仕事頑張ってたお父さんを思い出すんだよね。
大変だったよね、きっと。
でもお母さんにばっかなついて、可愛げのない娘だったよね、きっと。
今は本当に感謝してるよ。
大尊敬してるよ。
生きてれば、まだまだ辛いことや不安なことなんてたくさんあるけど、私は生きてるだけでまだましだよね。
せっかく人生まだ長いので、やれるうちに楽しんでいこうと思います。
だから、これからもどこかでちゃんと支えててね。
すぐ崩れるくらい弱い自分だけど、柱はしっかりしてるから頑張って生きていくからね。
折れないように、ずっとどっしり私の心の中で座っててね。
そしてお母さんだけはずっと見守ってね。
あなたの身代わりみたいなものなんだから、これからも大黒柱としてよろしく。