「どんな人と結婚したい?」の質問に「暴力を振るわない人」と答えた

中学1年生の時、私の家庭は普通ではないことを知った。
私は高校生、大学生頃までずっと父から暴力を受けていた。母は庇ってくれる時もあったが、大体は妹を連れて別室へ逃げていった。「あなたも大人しくしていなさい」が口癖だった。

なぜ4人家族の中で私だけが暴力を振るわれるのかわからなくて辛かったけれど、小さくて世界が狭い私には、お姉ちゃんだから、成績が1位ではないから、これが普通のことなのだと思っていた。
ただ、毎日が楽しくないので、マンションの上から飛び降りたら死ねるかな、電車に飛び込んだらいいのかな、なんとなくそんな風には考えていた。

中学生になってから学校で、恋愛の話が出てくるようになった。
「将来どんな人と結婚したい?」
中学1年生の時こんな質問をされ、私は「暴力を振るわない人がいいな」と友達に言った。
「そんなの当たり前じゃん~そういう話じゃないよ~」
友達はそう言って笑って、私の答えを流した。

私はこんなに悩んできたことなのに、この子は辛い目に遭ったことがないんだな。
その子がふと憎くなって、嫌いになった。この子が不幸になればいいのにとさえ思った。憎むべき人は友達ではないのに。

暴力を振るわれない妹のことも段々と「憎い」と感じるようになった

高校生に上がった頃からだんだんと、4歳下の妹とも仲が悪くなっていった。
今思うと、お互い気持ちが不安定な思春期であったのも関係しているのかもしれない。
ただ、妹のことも憎いと感じるようになった。

私はずっと父から暴力を受けていたのに対して、妹が殴られたり蹴られたりしているのを見たことがない。自分のことに必死で周りが見えていなかった小学生、中学生の頃の私と違って、冷静におかしいということを考えられるようになってしまったのだ。

そしてその時、妹から下に見られているということに気付いた。父から暴力を振るわれて泣く私を見て、鼻で笑っていたことがあったのだ。妹はどんなにひどいことを私に言っても、庇ってくれて常に味方でいてくれる母がすぐそばにいた。母はうまくいっていない家庭環境の現状から目を背けるかのように妹を溺愛していた。

妹ばかりずるいと感じて、また憎いという感情が芽生えた。人に対してマイナスな感情を抱いてしまう自分のことも嫌いだった。

そんな私でも、大学生になってから、心を許せてなんでも話せる愛おしい人に出逢えた。それが今の彼で、昨年末から念願の同棲を始めた。一緒にいると心が安定して、前向きにいろいろなことを挑戦していきたいと思える。もう死にたいとは思わない。

気持ちを両親へ。2人は謝ってきたけど簡単に許せる過去じゃない

私が実家を出ると言った時、両親からはなぜか猛反対された。その時に初めて自分がずっと思っていた辛い気持ちを泣きながら両親にぶつけた。

父からも母からも、その時はあなたにあたるしかなかったと言われ、謝られた。謝罪されたことで少しだけ心が軽くなった気がしたが、そんな簡単に過去の10年、20年を許せるほど、私は心が広くない。人が怖いと思う気持ちはなかなか変えられない。上の立場の男性は特に。

街中で子供に手をあげている親を見かけると、「やめて!」と叫びたくなる。頭が痛くなってしまう。

お父さん、私はそれでも家族みんなのことが大好きだったよ。
でもね、家族で行った外食、ディズニーランド、旅行、楽しかったはずの思い出を思い出そうとすると涙が止まらなくなるんだ。

お父さんはどう?
私のこと、どう思ってた?
私のこと、少しでも愛してた?