朝5時に、あまりの明るさに目を覚ます。そっか、まだカーテンをつけていなかった。
もう少し寝ようかなと思いつつも心が軽い。いつもと違う土日が始まるのだ。
朝ご飯は近所のパン屋に行ってクロワッサンを買う?それとも新しいワンピースをおろしておしゃれなカフェのモーニングかなと、私は寝ながら想像してしばらくじっと白い天井を眺めている。何も音がしない。一人暮らしってこんなに静かなんだ。
そろそろ私も自立しないと。社会人2年目になって、私は実家を出た
社会人2年目になって、少し忙しくなってきたタイミングで私は実家を出た。
東京で一人暮らし。大学も実家から通っていたから、1人で暮らすと言うのは本当に初めて。周りもみんな一人暮らしを始めていたし、そろそろ私も自立しないと、と普通に思っていた。
家を出ると決めてからこの日をどれだけ待ちわびたか。最近の趣味が、SNSでひたすらインテリア食器を見漁っては、自分のインテリアコーディネートを想像すること、になるほど。
今日も朝から少しスマホをいじって通販サイトを見る。安くて可愛いものが多い。小さい頃は、少ないお小遣いで駄菓子屋でお菓子を買うのが大変だったっけ。それが、いまや、こんなにたくさんのものが買えるなんて。1人でお部屋を借りちゃうなんて。大人になった気分だ。
しんと静まり返った部屋。想いが反響して家族に会いたくなる
私の両親は、私が一人暮らしをすると聞いたとき、どんなことを思ったのだろうか。反対はしなかったけど、少し寂しそうな顔をしていた気がする。私は、ひたすら楽しみだったし、とても晴れやかだった。
一人暮らしを始めるって、大人の自由を手にすることに近い。特に私の両親は厳しい方だったと思う。私がスマホになったのも、大学生になってからだし。小さい頃から、何でも買い与えてもらっている友達を見てうらやましかった。いろいろなことを両親に反対されては、悩んだ日々もあった。
だけど、なぜだろう。今、家族のことを考えていると、不思議と目が潤む。今はみんな、まだ寝ているだろうなぁ、とか、今日はご飯何食べてるかなぁ、とか考えて、自分がそこにいないことを、少し寂しく思う、気がする。
しんと静まり返った部屋で、自分の想いが何重にも反響して自分に跳ね返って来て、家族に会いたくなる。これからは、私は大人の自由と小さい孤独とともに、生きていかなければならない。
耐えられるだろうか、と弱気になりそうだったときに、母の一言を思い出した。
「あなたの好きにしなさい。いつも応援しているから。辛くなったらやめればいいよ。」
家族はいつでも私の味方。私の自由な大人の記録は今日から始まる
家族の当たり前は、きっと何も変わらない。私が帰りたくなっても、いつでも、温かく迎え入れてくれる。どんなことがあってもどんな時も1番の味方で、応援してくれている。厳しい両親だが、大切な人たちだから。
この土日は何をしようか。お母さんに教えてもらったレシピで肉じゃがを作ってみよう。料理の腕を磨いて、今度みんなにフルコースを振る舞おう。私の、自由な大人への成長記録は、今日から始まるんだ。
美味しいご飯を想像したら、なんだか、心も、ぽっと、あたたまった。