想像してほしい。
大学生のあなたは長期休暇に仲の良い友達数人で、1泊2日の旅行に行くこととなった。あなたは大役、「ホテルを決める係」に任命されている。
このホテルがいいかな、こっちもいいな。あなたはワクワクしながら選び、ついに1つの素敵なホテルに決めた。そして他のみんなに『このホテルにしようと思う! どうかな?』とメールを送る。
なお、これは10年前の話なので、連絡手段はメールである。

『体調悪いから今日行けない』と言った子が、楽しそうな投稿を…

少ししてから返信が来る。みんなこのホテルを気に入ってくれたようだ。しかし1人からは(ハル、という子なのだが)なかなか返事が来ない。
これでは予約が取れないではないか! あなたはきっと困るだろう。他の係に任命されている子たちも、ハルと連絡がつかず困っているようだ。彼女のTwitterを見ると、15分前に呟いているようだが……。
賛成多数ということで、あなたはホテルの予約を取ってしまうことにした。ハルから『いいね!』とメールが返ってくるのは、丸1日経ったころだった。

想像してほしい。
旅行の当日、心躍らせながら待ち合わせ場所へ向かうあなたの元へ、1通のメールが届く。ハルからだ。
『ごめん。体調悪いから今日行けない』
あなたなら、どう思う?

当然怒る子もいた。だが理由は体調不良。強く責め立てることは出来ないだろう。ハルのことは一旦置いておいて、あなたはこの旅行を楽しむことにした。が、次の日。
ハルがTwitterに、見知らぬ他の友達と遊んでいるらしき投稿をしていた。
あなたなら、どう思う?

“弱いもの“の味方のヤヨイは、私たちに説教した。次の日から…

無論私たちは怒り、後日ハルへ直接苦言を呈しに行った。ハルは半泣きになりながらアウとかウウとか唸り、終始俯いていた。ここで、私たちに詰め寄られるハルを見た別の友人、ヤヨイが登場する。
「なんでこんなことするの!? ハル泣いてるじゃん!? かわいそうだよ! 」
ヤヨイは大変正義感の強い子で、困っている人を見過ごせないと前々から宣言していた。
私たちは事情を話したが、ヤヨイは尚も“弱いもの“の味方であった。

「なんで信じてあげないの? ハルの話は聞いた?事情があったんじゃない? そうやって大勢で詰め寄って、いじめじゃん! 本当に最低!」
ヤヨイはひと通り私たちに説教すると、ハルに向き合ってこう言った。
「ハルは何か言うことは無い? 言いたいことは、言わなきゃ伝わらないよ」
ハルはモゴモゴと「本当はめんどくさいから旅行なんか行きたくなかった」みたいなことを言った。
我々一同、ポカンである。

ヤヨイは勝ち誇った様子で「もう2度と私の大事な友達のこと悪く言わないで」と言うとハルを連れて去って行った。
あなたなら、どうする?

ハルの席は、ヤヨイのグループにも用意されていなかった

次の日から、ハルは私たちと一緒にいることはなくなった。
当然だろう。あんな仕打ちを受ければ。恐らくこれを読んでいるあなたも、同じ気持ちだと思う。
が、ヤヨイと一緒にいるということも無かった。ヤヨイのいる仲良しグループに、ハルの席は用意されていなかったのだ。ハルが声をかけても「え、なんでこっち来んの……? 」という雰囲気を醸し出されていたところを、偶然目撃した。私だったら心が折れている。

あれから、ハルはずっとひとりぼっちであった。
私たちを裏切ったハル。
ハルを裏切ったヤヨイ。
むしろこれは裏切りですらないのかもしれない。
私は“体調が悪くて行けない”ハルのために買ったお土産のチョコクランチを頬張りながら、遠目で見守ることしか出来ないが、あなたはどうする?