今から8年前、高校3年生の夏にアメリカに無料でホームステイに行った。無料で行ったというのは、当時、東日本大震災が起きた直後で、企業からの支援で東北の高校生を海外へ派遣するプログラムがあったからだ。

初めての挑戦、初めての夏、初めての出会い。このテーマを見たとき真っ先にアメリカに行ったことが思い浮かんだ。

東北の地元駅からツアーのバスに乗った瞬間。お母さんが集合場所に連れて行ってくれて、別れる瞬間。匂いも空の雰囲気も思い出す。

地元から離れたことがなかった高校3年生の私は、留学に期待していた

よく晴れている日だった。7月の夏だけど岩手の空だから過ごしやすくて、私は出発まで忘れ物がないかドキドキしていた。

このホームステイは宮城、岩手、福島の3県の高校生を集めて行うものだった。それまでの私は、地元である岩手県の市内の人としか関わったことがなく、福島県、宮城県の人なんて知らない世界だった。

宮城は仙台という東北の中の都会があって、キラキラしたものがたくさんあるように見えたし、福島も東京に近いところで自分の知らない楽しいことがたくさんありそうに見えていた。県外から集まった人は、凄い人たちがたくさんいるんだろうなと思っていた。応募者900人から60人が受かったホームステイだったので、どんな神童みたいな子が来るんだろう? と思っていた。

それまでの私は、偏差値40程度の私立高校に通い、成績もクラスの中で真ん中くらい、教室でも引きこもりがちで、一部の下ネタをいいまくる人たちに疲れていた。アホな高校に所属している自分に自信をなくしていた。

だからこそ、県外から来る新しい人との出会いが怖くもあり、楽しみだった。市外、県外からどんなレベルの高い人たちが来るのだろう。

夢見ていた「留学」だけど、実際は思っていたより楽しくなかった

ホームステイで同じグループになった15人のメンバーは、頭がいい高校に通ってるらしいけど、普通の子たちだった。ただ自分からホームステイに応募して来るだけあって、なんかキラキラしてる。目的意識が高いというか、かっこいい。

今思えば、もしかしたら私も周りからそう見えてたのかなとも思う。この機会を無駄にしないようにと思って、積極的に人に話しかけてたから。

ホームステイでは約2週間、アメリカのお宅に泊まって、毎日を過ごした。日中は街の教会で英語レッスンや街を散策するイベントがある。アメリカに行ってみた感想は、思ったより楽しくないなってことだった。

中学生の頃から夢見ていた、“留学”というコトバ。土曜の朝の旅行番組『旅サラダ』で観る海外の映像。どれも華やかで、かっこよくて自由そうで憧れていた。

しかし、実際アメリカで過ごしてみると、想像と違ったというか、あまり楽しくない。アメリカのオレゴン州という田舎の土地で、海外に来たという実感もあまりない。「あれ?こんなもの?」というのが感想だった。

高校生の私が始めて「自分の意志」で決めた留学の機会に感謝を込めて

当時の私が求めていたもの、それは同世代の友達だった。学校は低レベルであまり好きじゃない、クラスの人を見下してしまう自分、外の世界に意識が高い人たちの中に自分と合う人がいるんじゃないか、友達を作りたい、そんな気持ちでいっぱいだった。集まった高校生15人と日本語で話している時間が一番楽しかった。私が欲しいものは、友達だったのだ。

それは寂しいけど、今でも変わらない。地元の高校の教室ではあまり人と関わらずに閉ざしている自分、だけどホームステイの間は、自分から友達に話しかけた。

ホームステイ中、英語が話せなかったり、周りの人がキラキラして見えたり、卑屈になったり、鬱屈することもあったけど、この出会いがこれからに繋がるかもしれないということが嬉しかったんだ。

高校3年生の夏、私は自分から応募して、自分から行くと決めて、地元の街を出た。自分から初めて県外の人の輪に飛び込んだ。当時の自分からしたら、凄い挑戦だった。挑戦をさせてくれる機会に出会えたことに感謝したい。