「来月誕生日なんだからさ、大人っぽい格好してオシャレなお店行こうよ!」
高校時代から仲良くしている友人が、この前言ってくれた言葉だ。
自分のためにオシャレをすることは、お金では買えない最高のご褒美
6月が来れば、私は26歳になる。 大人っぽい格好ってなんだ、もう立派なアラサーじゃないか、と声をあげて笑ってしまった。
思わず笑ってしまったものの、友人が言ってくれた言葉がここ最近で一番嬉しく感じた。
昔は欲しいものがたくさんあって、誰がどんなものをくれるのか楽しみにしていた時もあったけど、今は違う。 社会人になって、自分の稼いだお金で大抵の欲しいものは買えてしまうからだ。
ちょっとしたパーティに行けそうな大人っぽいワンピースを着て、仕事用じゃないメイクをして、オシャレな街を颯爽と歩き、オシャレなお店で食事をする。
自分のためにオシャレをして出掛けるワクワク感は、お金では買えない最高のご褒美である。
中学と高校時代を校則の厳しい進学校で過ごしたためか、私はオシャレなんて本当に興味がなかった。 校則に抗ってまでオシャレをする気力がなかったのだ。
代わりにゲームやマンガに没頭していた。
オシャレや恋愛は全くしなかったが、気の合う友人たちと馬鹿話や趣味の話をする日々は、私にとってかけがえのない時間だった。
「オシャレは自分のためにすること」セミナー講師の言葉に感動した
大学生になると、さすがにメイクやファッションを気にするようになったが、あまりやる気はなかった。 私がオシャレというものを強く意識し始めたのは、就活セミナーに参加したのがきっかけだった。
セミナー講師はオシャレと身だしなみの違いについて説明してくれた。
「オシャレは自分のためにすること。身だしなみは相手のためにすることです」
自分の好みではなく、面接官に好印象を持ってもらえるような装いにしましょう、ということなのだが、その時私は「オシャレは自分のためにすること」という言葉に深く感動したのだった。
大学生になったからメイクをしなければ、と思っていた。
入学したばかりの頃は、メイクってどうやるんだろう、毎朝大変で嫌だなあ、と思っていた。
でも、メイクもファッションも気にしないと周りから浮いてしまいそうだし。 当時の私にとってオシャレは、自分のためでも相手のためでもなく、しなければならない呪いようなものだった。
自分のためにするオシャレを知ってからは、メイクもファッションも楽しめるようになった。すると、オシャレな街やオシャレなお店に行ってみたくなった。
世界が広がった気がした。
誕生日に向けて購入したアイテムは、どれも自分のためのオシャレだ
6月に向けて、紺のワンピースを買った。ちょっと勇気を出してノースリーブだ。
新しいアイシャドウを買った。初挑戦のグリーン系だ。
あとはとっておきの、誕生花をモチーフにしたネックレス。6月はアジサイがモチーフで、淡い紫が涼しげである。
このネックレスをお店で見つけた時は、まだ寒い2月だった。誕生月まで買うのを我慢しようかと思ったのだが、社会人だし思い切って買ってしまった。
欲しいと思ったものは必ず手に入れる性分なのである。
今度の休みの日は、紺のワンピースとアジサイのネックレスに合うヘアアクセを探しに行こう。
そう考えるだけで明日からの仕事も頑張れてしまう。
いくつになっても自分のためにするオシャレは、いつだって私たちをワクワクさせるのだ。
「オシャレは自分のためにすること」
もう顔も名前も思い出せないけど、教えてくれてありがとう。就活セミナーの講師さん。