引っ越しが延期に。せっかくなら、家でできることで楽しむことに

醤油をかき混ぜる。正確には醤油ではなく、これから醤油になるもので、醤油酵母に塩と水を加えてよく混ぜてから置いておき、たまにかき混ぜると醤油になるものだ。
大体ふとこれのことを思い出して見てみると、産膜酵母で表面が白くなっている。ずぼらのせいか、そもそもがこうなってしまうものなのかはよくわからないが、一応カビではないらしいので、そのままかき混ぜる。

味が落ちるとかそういう細かいことは気にしたほうがいいのかもしれないけれど、気にし過ぎても楽しくないから、とりあえずそのまま混ぜる。
醤油は、味噌に比べて手間がかかる。味噌だけにしておくべきだったかなと若干後悔。でも、どんなものができるかわくわくだ。

緊急事態宣言を受けて、引っ越しが延期になってしまった。
なんと引っ越しの3日前に延期が決定し、荷物をまとめること以外ほぼ全てし終えてしまっていた私は途方にくれた。なんでこんなことで、と泣けてしまったけれど、一人で決められることではないから仕方ない。

だからって何もしないのも、やけになって外出するのも違うだろうと、家でできることで楽しむことにした。また自粛が始まったくらいの頃の生活に戻っただけだ。
ただ、自粛する前は、まさか自分が醤油を作ることになるだなんて想像もつかなかったし、やってみたかった味噌作りにこんなに早く挑戦できるとも思っていなかった。

いろいろ作るなかで気付いた自分の好きなこと。味噌づくりに挑戦

自粛前は、こんなにいろんなものは作らなかった。面倒だし、疲れるし。他に楽しいことはたくさんあるのにこんなことをするのは、しけていると思った。古臭いと言われれば反論もできない。

飲み会とか、買い物とか、町歩きとか。
若いんだし、こういうことをした方がいいと思った。皆そうしているし。
でも、飲み会などが終わった後のほんの少しの寂しさを思うと、私には若者らしいと言われるような派手なことはあまり向いていなかったようだ。

昔は楽しかったんだけどなぁ。楽しみ方が変わったのに、ついていけていないのかなとがっかりした。

実際にいろいろ作ってみると、他のことをするより楽しかった。やはり私は、作ることが好きなようだ。味噌は昔から作ってみたいと思っていた。でも何か調べる前から勝手に、難しいだろうとか、自分には無理だろうと考えていた。そして、いつかやろうとか、やってみたいけど今は無理だなとか、思ってしまっていた。

自粛で暇すぎて、とうとう作り方を調べてみたら意外と簡単で、幼稚園児が園の行事で、皆で作ったよという記事も見つけた。
幼稚園児でも出来るのなら、私もできるかな。親子で挑戦している人もいた。いつか私も子供と一緒に作りたいな。

家の近所の麹屋さん。近くにあったのに調べるまで気付かなかった

味噌を作ってみると、たしかに豆を蒸すことだけは園児では難しいかもしれないけど、他は簡単だった。粘土感覚で楽しくできそうだ。
当たり前のように味噌はカビるけれど、味噌のカビは取り除いてしまえば大体食べられる。

今はネットでいくらでも調べられるから、味噌作りについての情報をたくさん見つけられる。意外といろんなことが、独学でもなんとかなるんだなと驚いた。興味を持った方は、ぜひ自分で調べて試してみてもらいたい。

特にある味噌屋さんは、動画もたくさん出してくれている。そこまで難しく考えることはないと私は思うけれど、慎重にしっかり学んでから取り組みたい人には、ここの動画がおすすめだ。

先日もちょうど、cookpadを見ながら味噌を仕込んだ。
麹は町の麹屋さんで買ってきた。意外と近くにあったのに、調べるまで気がつかなかった。大豆もそこで購入している。

容器はプラスチックでもなんでもいいが、私は甕に丸めた味噌玉を叩きつけている。
カビさせないために、表面にウイスキーを塗ってからラップと蓋をする。カビてしょうがないと相談したら、詳しい人が教えてくれた。

1回の作業としては大変かもしれないが、仕込んでしまえばもう何もしなくていい。むしろ前回は気になって開けすぎてカビさせてしまったようで、あんまり開けない方がいいそうだ。

食べるのは半年後くらいだが、気になって4ヶ月で食べてしまった。熟成期間も調べてみるといろいろあったので、まぁこのくらいでもいいんだろう。
4ヶ月でも十分おいしく頂けたが、みそっかすをすりこぎとすり鉢ですらなければならなかった。

自粛期間は色んな事に挑戦できる機会。案外悪くないかもしれない

もう少し熟成されたものも食べてみたいから、今回はちょっと我慢しようかな。
スーパーの安い味噌を食べていた私からすれば、4ヶ月でもかなりおいしくできた。手前味噌かもしれないけれど。

まだまだ味噌作りはひよっこだし、挑戦できていない発酵食品はたくさんある。
今度は何に挑戦しようかと思いを巡らすと、ちょっとわくわくする。もちろん発酵食品以外のものや、食べ物以外にも挑戦したい。

それまで考えもしなかったような、いろんなことに挑戦できると考えると、自粛もなかなか悪いことばかりではないかもしれない。
そう思うと、暗いコロナ禍でも少しは前を向ける気がしている。

そもそも、暗くなったって仕方ない。出来ることをして、限られた中で精一杯楽しく生きて行こう。