恋をグループの友達に相談。秘密の共有で友情は深まったと思っていた

高校一年生の時、私は初めて恋をした。
相手は同じクラスのスポーツ少年で、少し顔が強面だけど、笑顔が爽やかな人だった。
遊ぶグループが同じで、部活も同じテニス部で、結構うまくいっていると思っていた。

課外授業で、自転車を借りて二人乗りで近くのコンビニまで走ったり、水族館では一緒に館内を廻ったりしたのは、今でも忘れたくない甘酸っぱい思い出だ。
多分誰が見ても私が彼に恋しているのは一目瞭然で、彼も私のことを悪く思っていないとほとんどの人が思っていたであろう。

当時の私は、初めて好きな人ができた高校生の女の子らしく、友達にたくさん相談をした。
中でも、私たちのグループで一際女の子らしく、明るく、優しく、クラスの中心にいるような子になんでも話した。

その子は、流行や噂や恋に敏感で、少し男っ気が多かった自分達のグループでは珍しく女同士の話が通じる相手だった。

元から仲が良かったが、自分の秘密を共有していることによって、二人の友情はことさら近づいたと思っていた。彼女は、私がどんなにくだらないことで一喜一憂しようと、親身になって話を聞いてくれた。いちいち私と同じようにはしゃいでくれて、慰めてくれた。

告白の結果は惨敗。数日後、彼は相談していたあの子と付き合い出した

高一の終わり、私は意を決して好きな人に告白をした。
結果は惨敗。告白する前に相手に「何言うかわかってるから」と言われ、「ごめん」の一言で振られた。

そしてその数日後、彼はあの子と付き合いだした。
しばらくして、夏休みが明けたら、二人は別れていた。
私の話を聞いたり、同じグループで遊んでいるうちにお互いのことを意識して好きになっていったらしいよ、と別の友達から後日言い訳のように説明された。

そんなの知らない。どうでもいい。
なぜ同じ人を好きになったなら言ってくれなかったのだろう。
何を考えながら私の相談を聞いていたのだろう。

私が感じた感情は、明確な裏切りだった。
それでも私は彼女と友達を続けた。
理由を聞かれると、複雑な感情すぎて明確には答えられないが、結局のところ、私は裏切られても彼女が友達として好きだった。裏切られたとしても、彼女は明るく、優しく、クラスの中心にいるような素敵な子なのだから。結果として、初恋の彼とは疎遠になったが、彼女とは今でも仲が良く、たまに遊びに行く。

友達の彼女を信用することは一生ない。女の友情なんてそんなものかも

ただ、私は彼女を信用することは今後一生ない。
彼女に秘密を伝えたり、相談することは絶対ありえないし、友達として期待することもない。

がっかりするようなことをされ、仲間内で不満が募っても、私だけは、「まぁ、あの子だから仕方ない」と諦めている。その諦めが赦しのように見えるのか、私は彼女の理解者として見られ、よく「穏やか」や「優しい」と言われるようになった。実際、私はきっと彼女の本質を知る数少ない人物なのだろうと思う。

実は女の友情なんてそんなものなのかもしれない。

私は、友達と呼ぶ人は全力で信じたいし、基本は全力で信じている。
流石に崖から落ちて、どちらかしか助からないってなったら自分を助けるとは思うが、平時に助けを求めれば全力で助けてくれると信じている。そこまで大それたことではないかもしれないが、友情とは小さな信頼で成り立っているものだと思う。

例えば、会う約束をして時間通りに相手が来ると信じているから待ち合わせをするのだ。そもそも、相手と会って、心地よい空間をお互いに提供できると信じているから友達と時間を過ごすのだと思う。

よく男っぽいと言われ、男の子と仲良くしている私から見れば、彼女との信頼のない友情はある意味、唯一無二の不思議なものだが、女友達が多い子は日々裏切りや不穏な感情と共に過ごしているのかもしれない。
そう思うと女って怖いと思うし、何よりも強かだと思う。

それでも、きっとみんな何かしらの裏切りを背負いながら、人への期待と信頼を持って、友情を築くのだろう。