自分が嫌いになった人は、程なくしてみんなからも嫌われた。
言い訳だけど、いじめようなんて思っていたわけじゃない。小さな仲違いが知らぬ間に波紋して、クラスに広がっていく。私と仲違いした相手が、いつのまにか良くない噂を流されている。そんなことが小学校の高学年になってからだろうか、起こるようになっていた。
中学2年生の時に、同じクラスの「同性の女の子」に恋をした
断っておくが、私は特段容姿が整っているわけではない。むしろ中学生の頃は思春期特有のニキビが酷く、そのせいで自殺願望を持ったことすらある。もちろん親が富豪とか、権力者なんてこともない。私は、一般家庭に生まれた普通の子である。強いて言えば、私は凄く頭が切れた子どもであった。
中学2年生の時に初恋をした。一目惚れ、相手は同じクラスの、同性の女の子だった。その時は、“バイセクシャル”なんて言葉は知らなかったし、それを恋とも思わなかったけど、やっぱりあれは初恋だったと大学生になったいま思う。
はっきりとした顔立ち、男女ともに好かれていて、極めつけは学年で一番人気の男の子と付き合っていた。私の場合、女の子を好きになって一番困るのが、好きになった相手が異性愛者ということだ。
こればっかりは、どうしようもない。だから、せめてその子の一番の友達になろうと思ったのだ。
彼女の「一番の友達」になるために、勉強や彼氏…何度も嘘をついた
そう決めてからは早かった。その子の周りの友達と仲良くなり、好きな食べ物、曲、教科、家族構成なんかも聞き出した。ほぼストーカーである。部活が終わるタイミングで私は都合よく登場し、何気ない会話をして「またあしたね」と白々しく呼びかける。
もともと相手が気さくなほうだったから、仲良くなるのに時間はかからなかった。初めて会話をしてから1ヶ月ほどで、私は彼女の一番の相談相手になった。勉強のこと、友達のこと、部活のこと、彼氏のこと。なんでも聞いたし、私も好きな相手のことは除いてなんでも話した。
そして彼女の前で、私は何度も嘘をついた。テストの点数を低めに見積もった。本当はたくさん勉強していたけど、していないふりをした。
話を合わせるために、男の子と付き合ったふりをした。これが彼女に対する一つ目の裏切りである。
私はA子に「C子って、B男のこと好きらしいよ」と嘘をついた
中学校生活最後の年も、彼女とは同じクラスになった。そう先生に仕組ませたのも私だ。これに関しては、書くと長くなるので省略する。
クラスには彼女の彼氏と、元々の友達も何人かいた。小学校から一緒の、彼女の幼馴染の女の子もその中の一人だった。会話は少なかったが、なんとなく私に似たようなタイプだった気がする。
クラスで人気の女の子(登場人物が増えてきたので仮にA子としよう)、その彼氏(B男)、幼馴染(C子)、そして私。役者が出揃った。ここで私は、二つ目の裏切りをする。
A子に「C子って、B男のこと好きらしいよ」と嘘をついたのだ。正確には、嘘ではなかった。その時、C子は本当にB男が好きで、仲良く話をしていたのも知っていた。すると、びっくりするほど早く関係はこじれた。A子はB男と別れ、C子とも絶交した。A子は、私に泣きながらそれを伝えた。私は心の中で笑っていた。
こういう話にはありがちな終わり方だが、結局数ヶ月後、A子はC子と仲直りし、B男ともヨリを戻した。だんだん私は、A子と話さなくなっていった。
結局、私は恋愛漫画でいう邪魔者だったのだ。主人公になる資格もなければ、主人公の友達でも、もちろん恋人にもなれない。中学生の頃の苦い思い出である。