初潮が来たのは、中学2年生の夏だった。
同年代に比べると、比較的遅かったような気がする。早い子は小6くらいで来ていた。すごく背の高い子だった。
2008年の北京オリンピックの試合の勝利とともに「初潮」が訪れた
そのとき、ちょうど部屋のテレビで家族とオリンピックを観ているときだった。バドミントンの女子ダブルスの試合で、セットを取られたり取り返したり、かなりの緊迫した試合だった(いま調べたら多分、末綱選手と前田選手だと思う)。
私もかなり白熱した感じで試合を観ていた。もちろん自国の選手が勝って欲しいと思った。試合中、ずっとハラハラしていたが、遂に決着がついた。
勝った。勝ったのだ!! 負けるかもしれないと思われたが、最後の最後で押し勝った。勝利を決め、二人は安堵と歓喜の気持ちを抑えきれず、コート内でそのまま手をついて、喜びと身体の疲労をじっと味わっているように見えた。アウェイの場所で全力を出し尽くし、貪欲に勝利を奪ったことに私は感激し、家族と大声で喜び合った。そのあとトイレに行ったら初潮がきた、という記憶である。2008年の北京オリンピックだ。
次の日が地獄だった。お腹が痛くて痛くて、もう寝ても起きてもどうしようもない。お腹を抱えてウンウンうなった。それ以外はなにもできなかった。とても苦しくて、汗がたくさん出た。
そして、頭の片隅で「この痛みが毎月訪れる」ことをしっかりと再認識した。とてもじゃないけど、耐えられないと思った。
そのあと、その痛みは毎月訪れたわけではなかったが、けっこうな頻度でやってきた。私はときたま学校を早退したり、部活を休んだりした。社会人になっても一度だけ生理痛で休んでしまったことがある。
20代後半になり、私の「生理痛」は手がつけられない程になった
20代後半になり、いつのまにか痛みの規模は、手がつけられない程になっていた。あ、痛い、と認識してから、少し経つと、不吉な波がやってくる。そして、波がだんだん高くなってくる。「痛い痛い」と声に出してみる。意識が遠のいている気がして、何を喋っているのかすらわからなくなる。
ベッドにいたのに、気が付くと毛布を巻き込みながら床に倒れこんでいる。本能だろうか。床に這いつくばりたい。土に近づいて、安定する場所で苦しみたい。汗が止まらない。めちゃくちゃ暑い。でも、寒気がする。
だんだん獣のような声が出てくる。ちょっと信じられないような声だ。私は普段、職場でおとなしいと思われている。こんな声を出すなんて皆に知られたら、ものすごくびっくりされるような声だ。私は普段とても声が小さいのだ。
一番ひどい瞬間、私は毛布にくるまって、くるまりながら、同時にタオルで額やら背中から噴き出す大量の汗を抑え、致命傷を負った獣のように地面をのたうちまわりながら、泣き叫んでいる、という状態である。
もちろんそれはピークのときで、年に1回か2回くらいのことだ。嵐が去ると、私は涙のあとも拭かないまま、ただそのまま横たわっている。死んだ動物みたいに全ての筋肉が緩み、ただ呆然としている。1時間ぐらいそのまま眠りに入ったりする。そして、ゆっくりと起き上がり、また少しずつ活動しはじめる。
食生活がいけないのかもしれないと思い、大嵐がきたあとは、嵐に備えるため、身体づくりをしようと決めた。玄米菜食にし、肉やケーキを食べないように心掛けた。
しかし、大きな災害も風化してしまうものだ。いつの間にか欲望のまま、あらゆるものをかっ食らっている。運動も続かない。
低用量ピルを飲むと良くなるとYoutuberが言っていたが、なんかよくわからなくて怖い。欧米諸国に比べると日本のピル服用率は著しく低いらしい。日本の性教育の遅れの結果が、この後進的な思考なのだろうか。
生理と13年も付き合っているのに、まだパンツに漏れることがある
この生理と付き合い始めてもう13年になる(書きながら衝撃を受けている)が、私はなぜか毎月パンツを風呂場で洗っている。毎月生理が来たとして、単純計算してみると156回も生理を経験していることになる。
今まで100回パンツを洗っているとしたら(先週も洗った)、それは私が経験値をほぼまったく積んでいないということが言えるだろう。
私は一生懸命勉強して大学に入り、それなりの学習をして卒業した。特別頭が悪いというわけではないはずだ。だとしたらなぜ同じ失敗を100回も続けるなんてことがあるんだろう?
まず眠るときには、タンポンを付ければもれることはない。心配ならナプキンを下にあてがえばほとんど問題はないはずだ。
しかし、タンポンは2回以上連続で付けてはならないというルールがある。だから、寝る前にタンポンを外したら、次には紙ナプキンを付けるほかない。
じゃあ、寝る前にタンポンをタイミングよく付けよという者がいるかもしれないが、交互に付けていくと寝る時にタンポンではないということもある。そして、紙ナプキンはいつでも付けられるが、タンポンはいつでも付けられるわけではない。
ちょっとなんだかよく分からないけど、体がタンポンを受け付けないときもあるから、その時に紙ナプキン→タンポン→紙ナプキンの順序が崩れてしまう。紙ナプキン→紙ナプキン→タンポンとなってしまうときもあるのだ。算数の問題ではない。
そして、タンポンは8時間以上付けてはならないので、それ以上の睡眠の見込みがある場合、ルールにのっとり紙ナプキンをつけて眠ることになる。すると、必ず漏れている。
こんなことを13年も続けているのだ。なんなのだろう。生理パンツを買ったのはなんと1年前だ。もちろん感動した。早く買えばよかった。今は吸水パンツ、月経カップなど、まだ私が手を出していないアイテムもある。
私にパンツを洗わない日がやって来るだろうか。おそらく、来月も私はパンツを洗っているだろう。