毎月嫌でも訪れる、容赦のない生理のように
女として生きる上切っても切り離せないことがある
それはセクハラや性的被害だ。
人が信頼できなくなるという感覚を、生まれて初めて鮮明に感じた
ところで、今はありませんが、皆さんは少し前までかがみよかがみから初めて受け取った『謝礼』を何に使いましたか
私は「ペン型ボイスレコーダー」を買う為に使いました。
なぜなら、私は18歳の時バイト先の男性二人組に服をめくられ、そのまま下着に手を突っ込まれ胸を何度も揉まれるという強制わいせつをされ、警察に相談するも「叫ばなかったあなたが悪いよ自業自得」スマホが入っている鞄を加害者に奪われている状況だとわかっていながら「なんで奪い取って、その時警察を呼ばなかったんだ、証拠が不十分だ」と言われ、反論もしましたが、捜査すらしてもらえませんでした。
男達の指紋が付いた服とカバンを全て持ってきてと言われたから大きな鞄を抱えて電車に長時間揺られ、震える手で泣きながら書き出した被害を受けた日の詳細を読ませ、警察から言われた言葉がこれです。
結局、指紋の調査すらしてくれず、ただ嫌な記憶のこびり付いた鞄を持ち運ばされただけ。
あなた達は恐怖で声が出なくなる経験がないのですか。
男2人に迫られて足がすくむ感覚、下手をすればレイプだけで済まされないのかもしれないことが頭をよぎる恐怖。
「二日間寝られていなくて、外に出るのもやっとです」といったら、警察官は半笑いで「病気なんですか。私達は医者ではないのでそんな事しりませんよ。眠剤でももらってきてください」人が信頼できなくなるという感覚を生まれて初めて鮮明に感じました
「そんなスカートを履いていたからだ」と言われるのかと、想像する
女というだけで狙われる世の中、自分しか自分を守ってくれないと理解しました。
もう以前の様に何も心配することなく、気軽にスカートも履けないようになってしまった今。
被害を受けた日から、日々、足のシルエットが出にくいダボダボのロングパンツに足を通しながらいつもこう思います。
「女になんて生まれてきたくなかった」
ショウウィンドウで輝いて見えた鮮やかな紫陽花のような紫のフレアスカートを思い出せば、でも、もしあれを履いている日に被害にあったら「そんなスカートを履いていたからだ」と言われるのだろうかと想像してしまう自分がいます。
鞄を開いて必要なものを取り出そうとすれば、加害者から逃げながら握りしめたハンカチ、事情聴取で使った筆箱、あの日のスケジュールを書いていたスケジュール帳。見るたび、使う度、思い出すのです。
生きているだけで、精神の苦しみの血をも垂れ流している
もう、本当に嫌です。
特に嫌なのは感覚の麻痺したアルバイト先の女性に「私もやられたことあるけど、仕事ってそんなもんだよ」「触られて嫌なら、服を洗えばいいじゃん」と言われたこと。
女性の私の股はいつも許可もなく血を流します。
ですが女であるということは生きているだけで精神の苦しみの血をも垂れ流しているということなのです。
でも、心の血を吸収してくれるナプキンはどこにあるの。
教えて20歳の今の私に
助けて、成人しても未来なんて輝かしく見えないよ。
世間は女に若い美しさを求めるくせに、それが犯罪被害に繋がると手のひらを返す。
このエッセイは、誰からの評価も求めてない、ただ私の声を聞いて欲しい。
私が私の思いにもっと気付きたい。
ポジティブな虚勢も張らない。だって泣きながら今この文を書いている私を否定なんて、
誰にも、もちろん未来の私にもする権利なんてないのだから。