十年以上も付き合っているのに、未だに上手く付き合えない。
それが「わたしと生理」だった。

残業が続き、睡眠障害に。初めて生理周期がずれた

恥ずかしい話、社会人になって数年経つまで自分の周期を記録したことがなかった。
というのも初潮を迎えてから十数年、少しのずれはあれど大きく周期が乱れたことがなかった為、排卵や生理の時期に備えることが出来ていたからだった。
また、痛みもさほど酷くなく、辛い日は薬を飲めば普段通りの生活が出来ていた。
社会人になって数年後、初めて周期がずれた。予定より一週間も早い月や一ヶ月以上空いた月もあった。

当時の私は自分の業務に加え、退職した先輩の業務の大部分を担っていた。詳細は割愛するが、残業時間が月三十五~四十時間を超え、睡眠障害も出ていた。今考えると身体は悲鳴を上げていたのだと思う。
きちんと病院へ行けばよかったのだが、前述の状態でストレスも大きかった為、「ずれても仕方ない」程度にしか思わず数ヶ月を過ごした。

周期のずれが出始めた頃、生理前の感情の不安定さがとても気になりはじめた。普段なら気にならないことや耐えられることが上手く処理出来ないのだ。
友人やパートナー、家族の些細なことに苛立ったり傷つき、時には感情がコントロール出来ず泣いてしまうことも多くなった。私生活だけであればまだよかったのだが、仕事にも影響が出てしまった。

周期記録を始めたのは、対人関係を円滑にする為

私は仕事を円滑に遂行したい性格で、意見のぶつかり合いで割く時間のロスがとても嫌いだ。理不尽な量の業務を任されても、問い合わせが私に集中しても、自分が我慢すれば早急に丸く収まると分かっている場面では気持ちを抑えてしまうことが多々あった。

ある日、些細なきっかけで私は会社で怒り、泣いてしまった。普段は大して否定の言葉を使わない私が不満を爆発させ泣き出すものだから、周囲は戸惑っていた。
なんとか涙を堪えようと試みるものの、一度出てしまうと止まらなかった。その数日後に生理を迎え、生理前だったからだと悟った。

そしてこの一件をきっかけに、周期記録を始めた。対人関係を円滑にする為だった。
公私問わず、諍いが起きる時期は全てと言っていいほど生理前である。どうしても対人関係が上手くこなせない。生理が来てしまうと何故我慢出来なかったのかと思う程度のことばかりだ。そして押し寄せる自己嫌悪。
この言葉に出来ないモヤモヤは他人と共有出来ない。けれど出してしまった言葉や涙を許される訳でもないのだ。

まずは自分の生理を理解し、適切な対処を

私は生理前3日間は酷く精神状態が悪い。
月によって差はあるものの、余りにも精神状態が酷い場合はなるべく他人と会わないようにしている。
会社を例にすると、幸いにも所属部署は女性特有の不調に理解がある為、休暇取得をしたり近年は自宅勤務に変更したりと、工夫しながら就業している。しかし理解のある風潮とはいえ、まだまだ難色を示す社員もいること、部署によっては休み辛い雰囲気があるのも事実であり、これは簡単には変わらないのだろう。

しかし現在は数年前より手軽に情報を得られる時代になり、男女問わず生理について考える機会が増えたとも感じている。けれど体調も精神状態も個人差が大きいもので、会社・家族・友人・パートナー、対人関係において完璧な理解を得られるかといえばそれは難しい。

そして不調なのを分かっていながらも、私のように病院へ行かない女性も存在する。
体調不良になるのは生理前なのか生理中なのか。食生活や睡眠にどんな変化があるのか。そして精神状態はいつ頃どうなるのか。
勿論最善は病院に行くこと、そして生理と付き合いやすい世の中になることが理想ではあるが、まずは兎に角自分で理解し対処するしかないのだ。

ここまで来るのに十年以上かかった。もし今の若い層でかつての私のように周期を記録していない子たちがいるのなら。
自身の体調管理の為だけでなく精神状態の理解をする為にも、私のように対人関係で後悔しないようにする為にも、生理周期はきちんと記録して欲しいと切に願う。