私には気づけば3年半、忘れられない人がいる。
ただ純粋な気持ちで追っかけた小説のような恋ではなく、最低でしょうもなく、好きになった方が負けと表現するのにぴったりの恋だった。

「大人の男性」だった彼。気づいた頃にはまんまと好きになっていた

あれは大学3年のとき、そろそろ就活を始めなきゃなーと思いながらも、モヤモヤしてた頃。
変に背伸びをして遊びを少し覚えたくらいの私は、ひょんなことからインターン先の上司の友達2人で飲み行くことになった。
たしか、就活の相談を乗ってもらうという名目だった気がする。

その30歳手前の落ち着いた彼が連れて行ってくれたところは、年に1回誕生日のお祝いなどで行くような恵比寿にある隠れ家風のレストラン。
2軒目は行ったことのないようなバーに連れていってくれて、大人の女性になれた気分になった。
そんな単純な私は、そのまま流れに身を任せ彼の家に。初めて飲む人の家に帰るなんてこれが初めてだったし、好きになる気もなかった。ただこの頃は、大人の男性を知りたいという興味本位なだけだった気がする。

それから毎週会うようになって、お泊まりするだけの日もあれば、旅行にいったりデートすることもあって、就活が無事終わったときはお祝いをしてくれたり、やっていることなんてカップルも同然で、好きになるつもりなんてなかったのに、気づいた頃にはまんまと好きになっていた。

私の告白に、「うん」とも「いいえ」とも言わなかったずるい彼

会えば会うほど好きが募る日々。痺れを切らせこの曖昧な関係を終わらせるために私は告白をした。
彼はずるくて、うんともいいえとも言わなかった。返答すらも曖昧にした。
「好きだけど、今は付き合えないかな」と絞り出して言った彼に、私は「じゃあもう会えないね。ありがとう」。そう伝え、彼への恋心の行方はあっけなく終わりを告げた。
結局この半年の恋がなにもなかったことになったのがとても悔しかったし、しょうもないなと思った。

その後、会いたいと会いたくないの感情の間で激しくゆれ、何度も曖昧な関係でもいいやって負けそうになった。そしてそんな私をよそに、彼自身もお構いなしに連絡をしてくる。
終わらせたつもりだった恋愛は、結局1ヶ月もたたないうちに、元の関係に戻ってしまった。

所詮私は振られたわけだし、早く忘れなきゃ。そんな感情と戦いながらも、好きだから離れられない日々。離れなきゃと言い聞かせるほど、好きという感情は増すし、自己嫌悪に苛まれる。
曖昧な関係でもいいや、私も他の男を見つけながら、彼を都合いい存在と思えばいいやってわり切ろうともしたし、他の男と恋をしたら忘れられるんじゃないかと思い、他の人と付き合ってみたときもあった。
ただ、結局彼以上には好きになれず、結局彼に対しての好きが溢れただけだった。
彼は、とりわけかっこいいわけでもなく、性格がいいわけでもなく、私のことを愛してくれているわけでもない。確実にいい男ではないことは自分でもわかっているのに。

離れられないのは自分の弱さでしかないのは重々承知で、離れるべき恋愛なのは頭ではわかっているのに、全然離れられなかった。
彼も私を捨ててくれればいいのに、相手にしなくなればいいのに、私が会いたいと連絡をすれば会えてしまう、どんなとこでも連れてってくれる最高で最低な彼だった。

「私でいいじゃん」。かなわない恋を、今度こそ終わりにしよう

そして最近、理解不能だった『愛がなんだ』の主人公テルちゃんの気持ちがすこしわかるようになった。
なんなら、私が好きな彼は私のことを好きなわけではなくて、でも愛しているかと錯覚するようなセックスをしてきて。
布団の中で絞り出して言ったテルちゃんの「私でいいじゃん」って言葉。その言葉をつまりながらも伝えた彼女に、自分を重ねて涙が止まらなかった。
私でいいじゃん。

社会人になったら終わらせよう。
22歳になったら終わらせよう。
23歳になったら終わらせよう。

そう誓ったわたしの言葉はすぐに消え、結局今も終わっていないし、そうこうして、すでに3年半が経った。
ここまでくると、もう好きとか愛とか、恋とか恋愛とか、そんなんじゃない。一周回ってセフレでしかないのも分かっている。
わたしも付き合いたいという感情はいつのまにか捨てたのか、付き合いたいのかすらわからない。もはや、好きなのか好きじゃないかすらわからない。
ただ結局、身体で繋がっている関係でしかないし、彼は私のことが好きではないことは自明だから。結局欲しがってしまうから。

だから、もう誰にも話せないこの恋のお話を文章にして、今度こそ終わらせたい。
嫌いにもなれないから、辛いこともたくさんあったけど、いろんな感情を学べた3年半のこの恋に感謝の気持ちすらも添えるから。

彼はずっと私を離さないから、私が会いたいと言えば会ってくれるから、だからもう、この恋をやめようと思う。

大好きだったよ、元気でね。