今回のパートナー

和田彩花さん

2009年4月アイドルグループ「スマイレージ」(後に「アンジュルム」に改名)の初期メンバーに選出。リーダーに就任。2019年6月18日をもって、アンジュルム、およびHello! Projectを卒業。アイドル活動を続ける傍ら、大学院でも学んだ美術にも強い関心を寄せる。

峯岸「あやちょが卒業後も『アイドル』を名乗っているのは何で?」

峯岸みなみさん(以下峯岸):私も先日、アイドルを卒業しました。あやちょ(和田さん)はグループ卒業後も自身の肩書について「アイドル」とされているんですよね。卒業後は女優、歌手、タレントという方が多いと思うんですけど、あえてアイドルを名乗る理由やこだわりはあるんですか?

和田彩花さん(以下和田):アイドルをやっていると、できないことってそれなりにあったりするじゃないですか。世間体なイメージから外れると仕事がしにくくなってしまうというか。それを自分で乗り越えていけるといいなと思って、アイドルを続けることにしたんです。 後輩たちにもアイドルにもこんな選択肢があるんだなと思ってもらえるとうれしいなって思います。

アイドルを続ける理由、ほかにも、自分がアイドルをやめたいっていう感情がなかったというのもあります。歌やダンスで表現できることに楽しさを見いだしていたので、その延長線上でもっと自分を表現していきたいっていう思いも強かった。だから今もアイドルを名乗っているんだと思います。

和田「ジェンダーやフェミニズムの視点で、自分の経験を語っていきたい」

峯岸:今はどんな活動を中心にされているんですか?

和田:私は美術が大好きで、学校でも学んでいるので、興味のない人にも広げていきたいですね。それから、女性が生きる上での不自由を、ジェンダーやフェミニズムの視点を使って、自分の経験と重ねあわせながら、エッセイやインタビューでお話できたらなと思っています。

峯岸:今回あやちょとお話したかったのは、もちろん元アイドルという共通点で話したかったのもあるし、アイドルでありながらフェミニズムについて公に語る人ってあんまりいなかったと思っていて。私は正直、そういうところが疎いと自分で持っているので、積極的に取り組んでいる方に話を聞いてみたかったんだ。アイドルでいると、不自由さがあるって、なんとなく最近思い始めてきたけど、具体的に感じたことってなんだろう?

和田:アイドルだからそれやっちゃいけないよ、とか多かったですね。MVやジャケ写など公に広がっていくイメージを作る時は、特に縛りがつよかったですね。髪色もそうだし、髪型を変えるにも上の人の確認が必要だったり。それも特に理由なく「アイドルらしくないでしょ」みたいな言い方で丸め込まれる。そこはもっと作品にコミットして、自分も表現の一部になりたかった。

峯岸「アイドルの恋愛禁止について、あやちょはどう思っているの?」

峯岸:アイドルの恋愛禁止とかはあやちょの目からはどう見えてるのかな?例えば私は世間に衝撃を与えてしまったわけだけど……。

和田:当時は大変だなっていう感覚が強かった。そこまで問題意識を持っていない時期だったから、かわいそうって思いました。でも今思うと、その「恋愛」っていう部分はアイドルはもう少し乗り越えられると思っていて。

例えば、恋愛が発覚してやめるということは、「恋愛をしているか・していないか」でアイドル自身の価値を決められることになるじゃないですか。でも、それって一方的な見方でしかなくて、アイドルって歌やダンス、トーク、人間性を含めてステキっていう子も結構多い。いろんな側面があって1人のアイドルが成り立っているのに、恋愛だけで評価するのって狭いなて思うんですよ。

峯岸:そうですね。でも、なんかそういう風に、恋愛した子をやめさせていくことで、価値を高めていくというグループもあるのかなって思うんだよね。例えば、恋愛し放題のグループと、ルールが厳しいグループとを比べた時に、どっちが信頼してずっと応援してもらえるかって言ったら……ルールに厳しい方なのかなって。

和田「お客さんも多様なんだから、恋愛のルールももっと自由でいいんじゃないかな」

和田:でも、その恋愛禁止ルールは誰にとってのルールなんだろうって考えると、アイドル本人にとってのものではなくて、異性愛を前提にしている、男性のお客さんのためなんじゃないかなって思う。

でも、思うんですけど、ハロプロファンの半分は女性なんですよ。そういうのを見ていると、恋愛しててもよいのでは、という考え方とか、何をしてもいいからアイドルをやめさせないでっていう声もあるはずなんですよね。お客さんが男性だけじゃないなら、そのルール自体を見直していく必要があるかもしれないですよね。

峯岸:あやちょは、グループやめた今も、アイドルを続けてるけど、恋愛とかはオープンにしていくスタンスなの?

和田:それも難しくて。というのも、私そもそもセクシュアリティの部分で悩んでいる時期が長かったんです。素直に男性が好き、ってならない。そもそも恋愛に特別興味がないんですよ。そういうタイプだから、オープンにもできるけど、なかなか難しいなって思っちゃう。自分に好きな人がいるんだったら、それはそれで機会があったら言ってもいいかなとは思っています。

  • 峯岸みなみをこっそり後で褒めたげたい(By和田彩花さん)

    収録中、私の経験や状況を汲み取りながらお話を進めてくださる優しさを何度も感じましたし、峯岸さんにも様々な経験と歩みがあることを感じました!また、アイドルグループでの活動中の出来事について、どう思った?って気軽に聞けるところも素敵だなと思いました。

    ただ、グループを卒業されても忙しさが続いていそうな点は少し心配なので、忙しい合間にも峯岸さんご自身の時間を大切に、人生を楽しいんでほしいなと思いました!素敵な時間をありがとうございました!

    和田彩花さん 和田彩花さん

Tokyofm「峯岸みなみのやっぱり今日も褒められたい」

峯岸みなみさん「やっぱり今日も褒められたい」

◇放送時間:木曜日21:00-21:30 ◇出演者:峯岸みなみ(AKB48) AKB48の1期生で、朝日新聞の女性向けWEBコラムサイト「かがみよかがみ」内でコラム連載を持つ峯岸みなみの新番組がスタート!アイドルとして15年の活動を経て、30歳という年齢が見えてきた一人の女性としてリスナーと本音で向き合う30分の番組です。一日の終わりくらいちょっと褒められたい。そんな思いを共有しませんか? 番組HPはこちら