小中高を共学の学校で過ごした私は、大学生の今の自分とは全くの別人と言っていいほど、恋する乙女だったように思う。
毎日のように友達と恋バナをしたり、好きな男の子と目が合っただの、話をしただのを熱心に日記に書き留めていたあの頃。
女子大に通う今は、言い訳がましいが恋愛へと発展するような出会いがなく、そういった恋心を忘れてしまっている。

友達との下校も楽しいけど、好きな子と並んで帰る時間は一層特別

小学4年生のとき、私は初めて男の子を真剣に好きになった。その子がサッカー部から吹奏楽部に転部して、同じ部活の仲間になった時、私は心の中で何度もガッツポーズをするほど嬉しかった。
部活帰りは同じ方向に家がある子全員で一緒に帰っていたこともあり、好きなその子とも一緒に下校できることになった。友達と楽しく話をしながらの下校も楽しかったけど、好きな男の子と並んで歩ける時間はより一層特別なものになった。

特に覚えているのは、遠足のあった日の部活帰り。本当はダメだったけど、遠足で余ったお菓子をみんなでつまみながら、もうとっくに日の暮れた通学路を歩いて帰っていたときのこと。
私は、その場にいたみんなに自分のお菓子を少しずつ分け、最後に好きなその子にも手渡した。ちょっとだけ触れた好きな子の手。好きな男の子に触れることのできた恥ずかしさと嬉しさで胸がいっぱいだった私に、「お返しにこれあげるよ」と言って、その子はFit’sのガムをパッケージから取り出し、こちらに差し出した。
バレンタインのお返しをもらっているような、でもバレンタインのお返しよりも数百倍嬉しい気持ちで受け取ったのを覚えている。

共学に通っていたあの頃の日記は、ほとんどが恋愛に関すること

私は、その子を好きになった小4の時から別の人を好きになる中学2年生まで、合わせて5回くらい告白した。
結局一度も実ることはなかったけど、心臓がドキドキしてうまく話せなかったり、いつまでも目で姿を追ってしまったり、「当たって砕けろ」の精神で勇気を出して5回も告白し、振られても「次こそは!」と意気込めるほど、本気で好きになった初恋の男の子。
毎日、些細なことで舞い上がりそうになるのを抑えながら学校生活を送れたのは、共学だからこそだったように今は思う。

大学進学で上京するために引っ越し準備をしていたある日。小学生の頃からときどきつけていた日記を見つけ、読んだことがある。
そこには、あの初恋の男の子のことや、その後に好きになった男の子のことなど、小学校から中学校卒業までの年月分綴られていた。学校生活について書かれていたけど、そのほとんどが恋愛に関することだった。

日常だった恋愛が、いつの間にか非日常へ変わった今、少し物足りない

その日記を読み返しながら、当時の自分の気持ちを思い出した。中には、全く覚えていなかったキュンとするエピソードも書かれていて、まるで恋愛小説を読んでいるかのような気分になった。当時の私が、ドキドキしたことや嬉しかった出来事を感じたままに記してくれていたおかげだ。
私は、当時の日記を最初のページから最後まで全て丁寧に読み尽くし、他の誰かに読まれることがないよう捨てた。
「これから女子大の学生になる自分には、さらに素敵な恋が訪れるといいな」という若干の期待を抱いて。

今の時代はさまざまな恋愛の形があるから、「共学でしか恋愛は楽しめない」わけではないと思う。だけど、今のところ恋愛対象が男性の私にとって、女子大での生活は恋や出会いとかけ離れていて少し物足りなさを感じてしまう。
日常だったはずの恋愛が、いつの間にか非日常へと変わったから。
取り戻せない日常に恋しさを感じながら、残りの女子大生活を楽しもう。