私は、いつも校則を楽しんでいる。
あのダサくて芋臭い感じは、学生のときにしか身につけられない、いわば限定ファッションだからだ。
メイクが好きだから、メイクを禁止する校則は嫌いだと思われがちだが、意外と好きなのだ。もちろん、誰がどう見たって理不尽な校則は嫌いだが。
学校で流行っている、制服の着崩しいろいろ
私の学校で流行っている、気崩しパターンは大きくわけて4つある。
1つ目は、シャツのボタンをあけリボンをゆるめる方法。セクシーさが際立つようになる。2つ目は、スカートや靴下を短くする方法。脚を長く見せるためにする。
3つ目は、学校指定外のパーカーやカーディガン、Tシャツを着る方法。大きく周りと差をつけたい人はこれをしている。
4つ目は、ネクタイやスカートの一部のみアイテムの変える方法。まだ、気崩し初心者はこれをしている。
みんな、このどれかの気崩しスタイルを実践しており、中には全制覇する強者までいる。
私は、あえて気崩しを選ばず、校則を楽しむことに決めた。大人になったら嫌でも、化粧させられるし。セーラー服を脱がなければならない。だから、校則通りのファッションは、いわば限定ファッションだ。
はっきりいって、華がない。でもこれでいいのだ
私の格好は、スカートは膝丈。基準通りの長さの靴下に、シャツのボタンやリボンも緩めない。化粧なんてもってのほか、おさげの髪型に薬用リップを塗っていかにも生真面目そうな少女を演じる。
はっきりいって、華がない。色気もない。道端に生えているみたいな格好だ。
でもこれでいいのだ。雑草にだって花は咲かせられる。いやむしろ、雑草にしか咲かせられない花もある。だから、私は、雑草でいるし、雑草でいることを誇らしく思っているのだ。
こんな格好でいると教室では、色々言われる。
「真面目アピールしてる」
「清純ぶりやがって」
「弱そうな格好」
まぁこんな感じで、色々と言われる事もある。
でも、彼女らの奥底にあるのは「私に対する妬み」だと思っている。私のように、校則を楽しむことが出来ないから、そうやって嫉妬しているのだ。
花はどんな花でもそれぞれの魅力があるのに、勿体ない。
秘密は、女を輝かせてくれるとっておきのアクセント
でも、日曜日だけは違う。メイクをして、ヘアアレンジもして。お洋服だって可愛いものを着ている。
いつもが、ダサい雑草なのならこのときの私は、温室育ちのやんわりした花。そんな私の二面性は、自尊心を満たしてくれる。
いつもは、ダサい雑草で日曜日は温室育ちの花。
そんな、ギャップは、いつか夢に見た、「地味な子が実は魔法少女だった」的な主人公みたいなロマンがあって胸が高鳴る。私でも、主人公なんだという希望を持たせてくれる楽しい気持ち。
私の日曜日を知る人は、学校の中にはいないだろう。私の学校生活を知る人は、私の日曜日を知らないだろう。そんな秘密を、胸の奥にしまって今日も生きていこう。
そうすれば、どんな姿でも、私の世界は輝いて見える。
秘密は、女を輝かせてくれるとっておきのアクセントだもの。
私を輝かせてくれるアクセントだもの。