夫には内緒。私は推しの画像を見ながら、鼻息荒く「イイネ」している

私は、コミュ障でオタク気質だ。いや、オタク気質だからコミュ障なのか? そんなこと卵が先か鶏が先かといっているようなものだ。
そして、私は隠れオタクである。別に隠しているわけではないが、パッと見はそう見えないらしい。全身全霊のオタクの方の目には“にわか”に映るかもしれないが、心はいっちょ前のオタクだ。
オタクが熱をあげる対象は幅広い。電車、ゲーム、アイドル、美容……。世は様々なオタクで溢れている。典型的なものでいえばアニメ・漫画だろう。
かくいう私もアニメオタクで、ボーイズラブを愛している。いわゆる腐女子である。父も母もアニメ・漫画好きで、そんな2人の遺伝子を引き継いだ私は生粋のオタクといえるだろう。
遺伝子の命令に従い、私のオタクライフはごく自然に幼少期から始まる。保育園から小中高と、どの時代を振り返っても推しがいた。
好きな人がいようが彼氏がいようが、推しは別モノで、彼氏に推しの話をすることもあれば、引かれたらやだなーと黙っていることもあった。当時は“推し”という言葉が今ほど浸透していなかったから、ライトに話せるようになった現代は、つくづくいい時代だなあと思う。
ボーイズラブという耽美な世界に目覚めたのは約5年前。諸先輩方に比べればまだ日が浅いひよっこである。念の為説明しておくと、ボーイズラブ(BL)とは男性同士の恋愛を指す。もともとBLというジャンルも腐女子という存在も知ってはいたが、5年前の私はただのアニメファンであった。
しかし、なんの前触れもなくその日は訪れる。その当時ハマっていたアニメには推しが2人いた。いつも通り推しを愛でていたところ、推しと推しがイチャイチャしている画像が、ふと目に入る。
急に例えようのない幸福感に包まれる。え? なに? こわいこわい、なんで脳内麻薬大分泌しちゃってんの? 内面の急展開に焦りつつも、新世界への期待が止まらない。
そして、私は悟る。これは神の思し召しだ。推しと推しが愛し合う完璧な世界がこの世にあるという、ただそのことに感謝しようと。私の人生史においてBL前・BL後と表すほどの衝撃である。
それから5年。いろんなものに沼りながら、ここ最近最強のカップリングが爆誕した。自律神経狂いがち女なんだから、暗い部屋で真夜中にスマホいじるなんて1番やめたほうがいい。頭では分かっているが、スクロールする親指は止まらない。
最終的には開きなおり、こちとら覚悟はできてんだわと誰に言うでもない決意表明をしつつ、身を削って推しを推している。このことは、夫には話していない。
別に話してもいいんだが、推しと推しと傍観者(私)という世界に誰も入ってきてほしくないのだ。だから腐女子友達もいない。ほしいかと言われれば、いてもいいけどなんか解釈違くなりそうなんでそれぞれ楽しみましょうよ、という気になる。
そのあたりがコミュ障なんだが、神絵師からの供給には「ありがとうございます……!」と歓喜し、鼻息荒くイイネする。こんな一人遊びが私に元気を与えてくれる。尊く思うその気持ちが、私を何よりも強くする……!一人で勝手に強くなれる私はかなりコスパがいい女じゃなかろうか。
推しがいなけりゃ仕事にも行けない。他の趣味も楽しめない。私はコミュ障でありながら、実は人に会うのは割と好きなんだが(ただ仲良くなるのに果てしない時間がかかる、あと美人とイケメンはなんかこわい)、しかし人に会うのも結構なエネルギーがいる。そんな生きぬく全てのエネルギーを推しで充填し、私は今日も1日を駆け抜ける。
人並みの生活をさせてくれる彼らに心の底から感謝しよう。あぁ……どうか神様、明日も推したちが幸せでありますように!
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